[東京 5日 ロイター] – 連合が5日発表した2023年春闘の最終集計によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)と定期昇給を合わせた平均賃上げ率は3.58%と、前年に比べて1.51ポイント上昇した。平均賃上げ率は1993年以来の高水準となった。
平均賃上げ率が前年を上回ったのは2年連続。新型コロナの影響で21年春闘の賃上げ率は1.78%と前年を下回ったが、好調な企業業績を背景に回復の足取りが鮮明になった。
23年の賃上げ率はコロナ前の水準を大きく超え、1994年の3.11%も上回った。93年(3.90%)以来の伸びとなる。専門家からは「物価上昇を追い風に高い賃上げを実現できた。景気の先行きには不透明感もあるが、物価は想定より上振れして推移しており、来春闘での下支え要因となり得る」(ニッセイ基礎研究所の斎藤太郎・経済調査部長)との声が出ている。
政府は、持続的な賃上げ実現を政策課題に掲げており、今後も高い水準での賃上げを維持できるかが焦点となる。OECD(経済協力開発機構)によると、日本の平均賃金は依然として加盟国平均を下回り、主要7カ国(G7)では最も低い。
連合によると、平均賃上げ額は1万0560円で、前年に比べて4556円増えた。連合では「回答額は着実に上昇している。労使が中期的視点を持って粘り強く交渉した結果で、未来につながる転換点となり得る」としている。
賃上げ率は3日までに回答した5272組合を対象に集計した。