[東京 7日 ロイター] – 公的年金を運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が7日発表した年度概況書によると、2022年度の収益率はプラス1.50%となった。プラス運用は3年連続で、23年3月末の積立金残高は200兆1328億円に膨らんだ。 

年度末にかけて国内外の株価が戻り歩調で推移し、年度収益額は2兆9536億円のプラスに回復した。自主運用を始めた2001年度からの累積収益額は108兆3824億円と、2年続けて100兆円を超えた。

GPIFは「国内株式市場の上昇や円安などで年度ベースでプラス収益になった」としている。

主要資産のうち、国内外の株式が収益を押し上げた。債券は内外いずれも3月末にかけ持ち直したが、年度ベースではマイナス運用だった。保有比率は3月末時点で国内債券26.79%、外国債券24.39%、国内株式24.49%、外国株式24.32%となり、いずれも同法人が定める指針の範囲内に収まった。

直近の四半期では23年1―3月の運用収益率がプラス5.41%だった。5四半期ぶりのプラスに転じ、約20年ぶりに4四半期続いた赤字運用から脱した。収益額は10兆2788億円となった。

今年4月以降に為替が円安に振れたことを受け、足元で外貨建て資産の含み益はさらに膨らんだ可能性がある。4―6月の運用状況は8月4日に発表される。

<大学ファンドはマイナス運用>

科学技術振興機構(JST)は7日、「大学ファンド」の2022年度収益率がマイナス2.2%だったと発表した。通年の運用状況を開示したのは今回が初めて。

JSTによると、22年度末の運用資産額は9兆9644億円。赤字運用だった資産全体のうち、「グローバル債券」の収益率がマイナス3.6%となった。「グローバル株式」は1.7%のプラス運用だった。

収益額としては全体のマイナス604億円に対し、債券のマイナス運用(1263億円)を株式で補う形となった。

グローバル債券の資産構成割合は54.6%(5兆4445億円)、グローバル株式が17.2%(1兆7101億円)としている。残る大半は預金などの短期資産が占める。

21年度末は運用資産額(5兆1186億円)のうち債券が54.6%、株式が4.1%だった。