- ECB政策見通し、インフレ見通し「明るい」とカシュカリ総裁
- 米株下落に備える時期か、米債券相場は不透明、中国が成長てこ入れ
先週0.25ポイントの利上げを決定した欧州中央銀行(ECB)。ラガルド総裁は28日の仏紙とのインタビューで、政策会合でいったん利上げ休止を決めた場合でも、その後に再び利上げすることはあり得るとの見解を示しました。米連邦公開市場委員会(FOMC)が6月に政策金利据え置きを決めた際には、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長が記者会見で「スキップ(利上げの1回見送り)」といったん呼んだ後に、そう呼ぶべきではなかったと訂正。7月のFOMC会合で利上げが再開されました。利上げサイクルの終了が近いとの観測が強まる中、金融当局として市場との対話が一段と重要になりそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。
政策金利巡るスタンス
ラガルドECB総裁は、政策会合でいったん利上げ休止を決めた場合でも、その後に再び利上げすることはあり得るとの見解を示した。総裁は仏紙フィガロに対し、9月の次回会合について「政策金利の追加引き上げがあるかもしれないし、休止することもあり得る」とした上で、「9月以降のどこかで利上げを休止した場合でも、必ずしも決定的なものではないだろう」と指摘。「われわれはインフレを速やかに目標に戻すことにコミットしており、そのためには、水準と期間という点で十分に景気抑制的な政策が必要だ」と述べた。
下落に身構えも
好調な米株式相場を受けて現在トレーダーの間では怖いものなしといった雰囲気も見られるが、一方でそうした状況を背景に売り浴びせが起きる可能性に身構えるストラテジストも一部に存在する。S&P500種株価指数は年初から19%上昇。ドイツ銀行の分析によれば、トレーダーの株式へのエクスポージャーは歴史的に見ても高い水準にある。だが懸念すべき理由はある。リセッション(景気後退)を招くことなくインフレを抑制するという難事業が完全に成し遂げられた例はほとんどない。さらに、8月と9月は時期的にS&P500種指数にとって1年で特にリターンの悪い2カ月となることが多い。
底堅い米経済
ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁は、米国のインフレ見通しは「非常に明るい」と述べた。一方、金融当局の積極的な引き締めキャンペーンにより、一部雇用が失われ、成長が減速する可能性が高いとの認識を示した。CBSの番組で総裁は、「米経済は、その底堅さでわれわれを驚かせ続けている」とし、「経済は減速するがリセッションは回避する、というのが基本シナリオと言えそうだ」と発言。一方、労働市場については「このインフレサイクルを労働市場への代償なしに終わらせるというのは現実的ではない」とし、失業率が今後数カ月に4%にまで上昇する可能性があると語った。
新たなリスクも
米債券相場が反発するという賭けはまだ先行き不透明だ。ウォール街のディーラーは、政府の借り入れ拡大に伴う国債大量発行が間もなく始まると予想。FRBはインフレが予想以上に根強いと判断すれば、利上げを継続するか高めの政策金利を長期化する可能性がある。日本銀行は超金融緩和政策から一歩後退し、債券利回りの上昇を容認。日本の投資家に米国から資金を引き揚げ国内投資に向かわせるインセンティブが強まった。
消費者向け産業を後押し
中国は経済成長をてこ入れするため、消費者向け産業を後押しする計画と、小規模企業の資金調達支援を目的とする証券取引所の成長促進策を盛り込んだ措置を発表した。工業情報省を含む3つの政府機関が28日に発表した計画によると、政府は家庭用品や食品のほか、紙やプラスチック製品、皮革、電池などを含む軽工業の成長を加速させたい意向。
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