• 米求人件数が減少、9月米利上げ見送りか、日銀ショックの波紋
  • ウォール街で強気予想、ウーバー初の営業黒字

米雇用統計に先立ち発表されるADP民間雇用者数。2日発表の7月分は19万人増と予想されています。前月発表の6月分では予想の倍以上となる約50万人増となり、金利見通しが一変しました。ADPのデータは労働省発表の雇用統計と必ずしも相関しているわけではなく、実際に6月民間雇用者数は14万9000人増。米金融当局の次の行動を推し量ろうとする市場は、引き続き結果に一喜一憂する展開となるかもしれません。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

軟化

6月の米求人件数は減少し、2021年4月以来の低水準となった。労働市場は全般的に堅調だが、労働者に対する需要が幾分軟化していることが示唆された。採用は21年2月以来の低水準に落ち込んだ。一方でレイオフも小幅に減少し、昨年12月以来の少なさとなった。米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数は、9カ月連続で活動縮小を示した。新規受注と生産が改善したが、なお縮小の領域から抜け出せていない。一方、輸出は今年最も低い水準に沈んだ。国内外で米国製品に対する需要が低迷していることがうかがわれる。

9月は見送りか

パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長は7月の利上げ決定後、もう1回の利上げを選択肢に残している。だが、エコノミストが目にしているサインは休止の方向を指している。モントリオール銀行のチーフエコノミスト、ダグラス・ポーター氏は「コアインフレ率が鈍化し始め、労働市場も多少軟化しつつあり、当局は十分なことを行ったというのがわれわれの中心的見解だ」と語った。一方、シカゴ連銀のグールズビー総裁は「9月にどんな行動を取るのかについて、事前にコミットするのは好まない」とインタビューで発言。「転換期が近づいている時は全ての会合がライブな会合になり、単月のデータを反映させるだけでなく、トレンドを把握することに務めるものだ」と述べた。

日銀ショックの波紋

ウォール街をはじめとするあらゆる地域の借り入れコスト抑制に寄与した極めて異例な金融実験に乗り出してから7年、日本銀行は国内債券利回りに対する手綱を緩めつつある。これが、全米の金融取引および家計に深刻な影響を及ぼす可能性がある。アポロ・グローバル・マネジメントのチーフエコノミスト、トルステン・スロック氏は「主要なリスクは、日本国債の利回り上昇を受けて、米金融市場から日本の金融市場への大規模な資産再配分が起こることだ」と指摘した。日本がいずれゼロ金利を解除するとの考えに基づき、ウォール街はそれがもたらす不安定な影響を見極めようとしている。

強気予想

ウォール街のストラテジストらの論調が変わってきた。オッペンハイマー・アセット・マネジメントのチーフ投資ストラテジスト、ジョン・ストルツファス氏は、S&P500種株価指数が今年、過去最高値を更新すると予想。S&P500種の目標を4400から4900に引き上げた。これは7月31日の終値から約7%上昇の水準で、2022年1月に記録した過去最高値を上回る。それでも、ブルームバーグが追跡しているストラテジストらの最新予想中央値は、年末までにS&P500種が現水準から下落することをなお見込んでいる。

初の営業黒字

配車サービス大手の米ウーバー・テクノロジーズは、営業損益が2009年の創業以来初めて黒字となった。だが同社株は下落。配車・宅配事業での成長ペースを維持できるか疑問が広がった。鉱業・建設機械大手の米キャタピラーの4-6月(第2四半期)利益は市場予想を上回った。同社の機械製品に対する需要は底堅く、世界的な経済活動減速への懸念を払拭した。米格安航空ジェットブルー・エアウェイズは通期の利益予想を大幅下方修正し、7-9月(第3四半期)損益についてはアナリスト予想を下回るとの見通しを示した。

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