11日、ウィーンで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会で発言するビーナネン議長(国連のビデオ映像より・時事)
11日、ウィーンで開かれた核拡散防止条約(NPT)再検討会議の準備委員会で発言するビーナネン議長(国連のビデオ映像より・時事)

 【ベルリン時事】ウィーンで開かれていた2026年の核拡散防止条約(NPT)再検討会議の第1回準備委員会が11日、閉幕した。議長総括案には、東京電力福島第1原発から生じる処理水の放出計画を後押しする記述もあったが、イランが核開発に関する内容に猛反発し、記録として残すことができなかった。

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 今回の会合は、計3回開かれる準備委の初回。7月31日からの会期を通じ、ロシアが反対して決裂した昨年の再検討会議からの仕切り直しを目指したが、核不拡散や軍縮を巡って分断の深さが改めてあらわになった。

 ビーナネン議長による総括案について、イランは西側諸国の立場に偏っているとして反対を表明し、中国とロシアも同調した。議長総括は各国の合意文書ではなく、議長の裁量で議論の概要をまとめたもの。公式記録にならないのは異例だ。

 総括案は、処理水放出計画の妥当性を認めた国際原子力機関(IAEA)の取り組みについて「加盟各国から強力な支持があった」と記載。準備委の会議では、ウクライナ侵攻を続けるロシアや核・ミサイル開発を加速させる北朝鮮への非難も相次いだ。