ECB0.25%利上げ、10会合連続 打ち止めの可能性示唆

[フランクフルト 14日 ロイター] – 欧州中央銀行(ECB)は14日の理事会で、主要政策金利を0.25%ポイント引き上げる一方で、利上げ打ち止めの可能性を示唆した。

利上げは10会合連続。リファイナンス金利は4.25%から4.50%に、中銀預金金利は3.75%から4.00%に引き上げた。

中銀預金金利は今回の利上げで1999年の単一通貨ユーロ導入以降で最高水準となった。ECBが2022年7月に金融引き締めを開始した際はマイナス0.5%と過去最低水準にあった。

ECBは声明で「現在の評価を踏まえ、主要政策金利はインフレ率の適時目標回帰に多大な寄与をするとみられる水準に到達し、十分長い期間維持されたと理事会は考える」と述べた。

ただ「インフレは低下し続けているが、依然として過度に高い水準に長期間とどまると見込まれる」とし、「インフレ率が2%目標に適時回帰するようにする決意だ」と表明。将来の決定では政策金利を「必要な期間、十分に制約的な水準」に設定する方針だとした。

今回発表した経済予測では、来年のインフレ率を3.2%とし、6月予想の3.0%から引き上げる一方、成長率は今年が0.7%、来年は1.0%に下方修正した。6月時点では今年が0.9%、来年は1.5%と予想していた。 もっと見る

ラガルド総裁は理事会後の記者会見で、必要になった場合の追加利上げの可能性を完全に否定はせず、金利は当面の間、制約的な水準にとどまる必要があると指摘。「焦点は今後は継続期間に移る」としながらも、「現在がピークと言うことはできない」と述べた。 もっと見る

同時に、一部の理事が今回の利上げに反対していたと明らかにした。ただ「今回の決定に賛成する理事が過半数を占めた」と語った。

ECBがユーロ圏の成長率見通しを下方修正したことは、景気後退(リセッション)入りがECBの基本シナリオになったことを意味するのかとの質問に対しては「23年下半期に想定されていた回復は後ずれした。24年には成長が回復すると確信している」と述べ、景気減速は一時的なものとの認識を示した。

<利下げ観測前倒し>

ECBが追加利上げや銀行システムからの資金引き揚げの可能性を示唆しなかったことで、市場では利下げ予想が前倒しされた。

市場では現在、ECBは24年6月にも利下げに踏み切り、その後は同年末までに2回の利下げが実施されるとの見方が織り込まれている。今回の理事会前は、最初の利下げが実施される時期の予想は24年9月だった。

ノムラのユーロ圏金利戦略部門責任者、マルコ・ブランコリーニ氏は、特にユーロ圏の経済成長見通しの下方修正が続いた場合、利下げに転じないと市場に納得させるのは、ECBにとって米連邦準備理事会(FRB)と同様に困難になると指摘。無条件のフォワードガイダンスの表明が一つの解決策になる可能性があるとしながらも、現時点では考えられないと述べた。

FRBは19─20日の連邦公開市場委員会(FOMC)で金利を現行水準に据え置くとの見方が大勢になっている。

Reuters Graphics
Reuters Graphics