アゼル、アルメニアとの係争地で軍事行動 ロシア自制呼びかけ

[バクー/モスクワ 19日 ロイター] – 旧ソ連構成国のアゼルバイジャンは19日、隣国アルメニアとの係争地ナゴルノカラバフで軍事行動を開始した。アゼルバイジャンは、憲法秩序を回復しアルメニア軍を撤退させるために必要な措置としており、不安定なこの地域で新たな紛争が勃発する恐れがある。

アゼルバイジャン国防省は作戦を発表する声明で「アルメニア軍の武装を解除し、アゼルバイジャンの領土から撤退させ、軍事インフラを無力化する」と表明。アゼルバイジャンの憲法秩序を回復するための措置の一環として、「高精度兵器」を使用した合法的な軍事目標のみを標的とし、民間人は標的にしていないとした。

アゼルバイジャン国防省は、アゼルバイジャン軍はこれまでに60を超える軍事拠点を制圧し、最大20台の軍用車両などを破壊したと表明した。

ナゴルノカラバフの分離主義当局によると、アゼルバイジャンの軍事行動により民間人2人を含む25人が死亡、138人が負傷した。

ロイターはこのどちらの表明も独自に確認できていない。

2020年の紛争の停戦を仲介したロシアは両国に対し戦闘を停止するよう呼びかけている。ロシア大統領府のペスコフ報道官はこの日の記者会見で、ロシアはアゼルバイジャンとアルメニアの両国と連絡を取り合っており、紛争を解決するための交渉を促していると表明。ロシアは今回のエスカレーションを懸念しており、市民の安全確保が最重要課題と見なしていると述べた。

米国のブリンケン国務長官は、ナゴルノカラバフの人道的状況の一段の悪化につながっているとして、アゼルバイジャンに対し軍事作戦を直ちに中止するよう求めた。欧州連合(EU)、フランス、ドイツなどもアゼルバイジャンの軍事行動を非難し、ナゴルノカラバフの将来についてアルメニアとの協議を再開するよう呼びかけている。