けさのニュースでプーチンの露出がやけに目立った。5日に南部ソチで開催されたワルダイ会議で内外の有識者を前に演説、その内容が細切れに報道されている。ロイターの記事から思いつくままにピックアップしてみた。「ロシア経済は昨年2.1%のマイナス成長になったが今年は回復する見込みで、制裁がもたらした課題を克服した」。「全体として、われわれは安定的で持続可能な状況にある。制裁を受けてから浮上した全ての問題を克服し、次の発展段階に入った」。「ウクライナは6月上旬に反攻を開始して以来、9万人以上の兵力を失った。また、ウクライナ軍は557台の戦車と約1900台の軍用車両車を失った」。「ウクライナによる北大西洋条約機構(NATO)加盟はロシアの安全保障を脅かすため常に反対してきたが、ウクライナの欧州連合(EU)加盟には反対しない」。「核弾頭を搭載できる原子力推進式巡航ミサイル『ブレベスニク』の発射実験に成功した」など、相変わらず居丈高な発言がめだった。
プリゴジン氏の搭乗した機体は「ミサイル攻撃ではなく、機内での手りゅう弾爆発が原因だった」とも発言。一連の説明が真実か嘘か、それを見極める手段がない。個人的には嘘やハッタリに満ち満ちた、自己中心的内容と推測している。根拠はない。ウクライナ侵攻をはじめ、これまでに行ってきた数々の領土的拡張、それに向けた野心や欲望を見せつけられれば、誰もがそう思うだろう。プーチンはこれらすべてがロシア国民のため、ロシアの安全保障のためだと説明する。ロシア国民がこうした発言を真に受けているかどうかわからない。西側で暮らすごく普通の市民からみれば、国民とためというより「個人的な利益のため、独裁的な権力を維持するための隠れ蓑」としか思えない。対するゼレンスキー大統領。5日にはスペインで開かれている欧州政治共同体(EPC)の首脳会議に出席し、ナゴルノカラバフ問題でキュ今日に立つアルメニアのパシニャン首相と会談した。同氏は「ウクライナは南コーカサスの安定と、この地域の国々との友好関係に関心を持っている」とSNSに投稿している。
一連の記事を読みながら思い出した。過日、ロシア情勢に精通したジャーナリスト・名越健郎氏が、テレビ朝日のワイドスクランブルに出演。以下のような発言をした。「コメディアン出身のゼレンスキー大統領はウクライナ戦争を機に偉大な指導者に変身した。これに対して偉大な指導者だったプーチンは、この戦争を機にコメディアンに変身した」と。一言一句正確ではないが、発言の趣旨は鮮明に覚えている。この発言は日本に在住するロシア人から聞いたという。ロシア人ですらいまや偉大な指導者だったプーチンを憐んでいるのだ。ちなみに「コメディアンに変身したプーチン」、そのこころはみんなから笑われている、ということだろう。大義も正義もない戦争を仕掛け、嘘とハッタリと自己保身に汲々とするプーチン。その周りをプーチン崇拝者の政治家や官僚、提灯持ちの取り巻きが囲んでいる。プーチン体制が崩壊し、みんなで大笑いする日が一刻も早く訪れることを祈る。
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