日本銀行の植田和男総裁は20日、「内外の経済や金融市場を巡る不確実性が極めて高い」とし、現行の金融緩和政策を継続する方針を改めて示した。都内で行われた全国信用組合大会であいさつした。
植田総裁は「経済・物価・金融情勢に応じて機動的に対応しつつ、粘り強く金融緩和を継続していく」とした上で、「賃金の上昇を伴う形で、2%の物価安定の目標を持続的・安定的に実現することを目指していく」と語った。
リスク要因としては、海外の経済・物価動向、資源価格の動向、企業の賃金・価格設定行動などを上げ、「金融・為替市場の動向やわが国経済・物価への影響を、十分注視する必要がある」と指摘。一方で、日本の金融システムは、全体として安定性を維持しているとの認識を示した。
物価の見通しについては、「価格転嫁の影響が減衰していく下でプラス幅を縮小する」とした上で、「その後は、中長期的な予想物価上昇率や賃金上昇率も高まっていく下で、再びプラス幅を緩やかに拡大していく」と述べた。
米長期金利の上昇や日銀による金融政策修正に対する思惑で、日本の長期金利は同日、2013年7月以来の水準となる0.845%まで上昇し、日銀が上限に設定する1%に迫っている。消費者物価が日銀の想定よりも上振れて推移する中、金融政策決定会合を30、31日に控えて、市場は日銀からの事前の情報発信を注視している。
他の発言
- 日本の景気は、緩やかに回復している
- 先行きの経済は緩やかな回復を続けるとみられる
- その後は、潜在成長率を上回る成長を続ける
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