注目の衆参2つの補選結果は自民党の1勝1敗。これまで両選挙区とも自民党の議席だった。両選挙区とも根強い保守基盤であることを考えると、実質的には岸田政権ならびに自民党の敗北だ。これで解散・総選挙が遠のいたとメディアは伝えている。年内解散なしとメディアは少し前から伝えている。なにをいまさらという感じもするが、岸田政権の政局運営が厳しくなることは事実だろう。今日は岸田総理の施政方針演説が行われる。所得税減税の意向が盛り込まれているようだが、今朝の新聞をみて驚いた。自民党参院幹事長の世耕弘成氏が次のような発言をした。中間層の消費意欲が冷え込んでいるとして、所得税減税を念頭に「来年夏のボーナスに間に合うように対策を取る」、大分市で開かれた自民の衆院選候補者の会合で述べた。「来年なの?」、このテンポの遅さ、これが今の自民党の並びに岸田政権の実態なのだ。
率直にいってダメなのは岸田政権だけではない気がする。自民党ならびに政権を共有している公明党も含め、与党やそれを支える官僚機構に危機感がまったくないのではないか。例えていうなら足元でボヤが発生し自宅に延焼の危機が迫っているというのに、戸主である総理は「ボヤを消すがどうか、専門家に検討を指示する」と言っているようなものだ。物価の上昇に賃金が追いつかない。国民生活は日増しに深刻の度を増している。これを解消するために経済対策を取りまとめ、補正予算を編成する。そう声を上げたのは他ならぬ岸田総理自身だ。9月25日に記者会見を行い、26日の閣議で決定している。あれからもう1カ月近くが経っている。先日、自民党の萩生田政調会長と宮沢税制調査会長を呼びつけて、所得税減税の検討を指示している。それも期限付き減税だ。加えて手続きにも問題がある。
おそらく党税調で所得税の減税を議論することになるのだろう。党の正式機関に検討を依頼すれば、どんなに結論を急いでも1〜2カ月はかかるだろう。報告書がまとまるのは12月の初中旬か。ここまで来ると来年度の税制改正大綱と重なってくる。となれば、何事につけ慎重の上にも慎重な宮沢氏のことだ。期限付き所得税減税の方針は来年度の税制改正大綱に盛り込もうとする。とてもではないが臨時国会で減税案を処理することなど無理。この間、ボヤは自宅に飛び火し、世耕氏の主張する「来年夏」に間にあったとしても、その頃自宅はボウボウと燃えている。とてもではないが消火どころではない。岸田政権、やることなすこと遅いのだ。周囲(財務省?)の反対に耳を傾けているうちに出番がなくなる。おっとり刀で駆けつけた時にはすでに自宅は燃え尽きたあと。煙が燻っているだけだ。岸田総理だけではない。自民党も公明党も官僚も先を読めなくなっている。展望なき政権維持に国民が苦しんでいる。
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