自民党参院幹事長である世耕弘成氏がきのう、代表質問を行った。ニュースで質問内容の一端をみて、改めて全文を読んでみた。政府・与党の大幹部の一人である人物の質問としては、異例ともいうべき痛烈な内容になっている。裏の事情は知る由もないが、率直な印象としてこれは岸田総理に対する辞任勧告ではないか?そんな気がした。質問は国民の間に鬱積する総理にたいする不満を代弁している。もちろん、幹事長の質問としては不適切との批判めいた声も自民党内にはあるようだ。それが党の大勢だとすれば、自民党そのものが国民から遊離していることになる。自民党のホームページに記載されている代表質問の全文から、気になる箇所をピックアップしてみた。質問は「岸田総理、最初に明確に申し上げますが、私は総理を支持し、総理が目指されている国の姿や政策の実現に少しでも協力したいと思っています」。続けて「岸田総理の登場には、個人的に、歴史の必然さえ感じています」。与党の幹事長である、総理支持の基本姿勢を延べるところから始まる。
衝撃はその後に続く。「しかし、現状において支持率は低空飛行、補欠選挙の結果も1勝1敗。こんなに頑張って成果を出しているのに、なぜ評価されないのだろう?これが現在の岸田総理の率直なご心境ではないでしょうか」。この問いかけに対する答えも世耕氏は自ら用意している。「支持率が向上しない最大の原因は、国民が期待するリーダーとしての姿が示せていないということに尽きるのではないでしょうか」。リーダー論の自問自答が続き、「私が現段階で考えているリーダー像は、『決断』し、その内容をわかりやすい言葉で伝えて、人を動かし、そしてその結果について責任を取るという姿です」と結論づける。“衝撃”の言葉は次だ。「しかし残念ながら、現状において、岸田総理の『決断』と『言葉』については、いくばくかの弱さを感じざるを得ません。その弱さが顕著に露呈したのが、今回の減税にまつわる一連の動きです」。
聞く耳を持っていると自画自賛する総理は、この言葉をどう受け取ったのだろうか。世耕氏曰く「9月25日に総理は『税収増を国民に適切に還元する』と表明されました。しかしこの『還元』という言葉が分かりにくかった。自分で決断するのではなく、検討を丸投げしたように国民には映った。総理のパッションが伝わらなかった」。その通りだと思う。総理の発言には言葉に重みと切実感がないのだ。まるで官僚の作文を読んでいるような薄っぺらさが付きまとう。どうしてだろうか?おそらく自分の頭で考えていないせいではないか。だからブレる。「増税メガネ」が定着した裏には財務省の言いなりという総理の基本姿勢が見え隠れしている。世耕氏は質問の最後に吉田松陰の言葉を引用する。要すれば目先の人気取りではなく、「この国の未来をどうするか、それを自らの任務と自覚せよ」と説く。これを辞任勧告と読むのは私だけだろうか・・・?
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