中国で呼吸器疾患増加、WHOが報告要請 専門家「パニック不要」

[23日 ロイター] – 世界保健機関(WHO)が中国に対し、呼吸器疾患の増加と小児肺炎の報告について詳細な報告を求めたことについて、WHOの中国事務所は23日、「定期的」な確認との見解を示した。有力な研究者らは一段の情報が必要として、新たなパンデミック(世界的大流行)の発生に対する懸念からパニックに陥らないよう呼びかけている。

中国の国家衛生健康委員会は今月13日に開いた記者会見で、呼吸器系疾患の増加について報告。新型コロナウイルス感染拡大抑制に向けた規制の解除のほか、季節性インフルエンザ、マイコプラズマ肺炎、呼吸器合胞体(RS)ウイルスによる感染症(RSV感染症)などの感染が拡大していることが背景にあると説明した。

こうした中、WHOは22日、中国北部で子供の肺炎のクラスターが発生していると新興感染症監視プログラム「ProMED」などが報告したと発表。WHOは中国当局がそれまでに発表した呼吸器感染症の全体的な増加と関連しているのかは分からないとして、国際保健規則(IHR)に基づき、報告された子供の肺炎の感染拡大について疫学的、臨床的な検査結果を追加的に提出するよう要請した。

その後、WHOは23日、中国保健当局が呼吸器系疾患の増加に関する要求されたデータを提供し、子供の肺炎クラスターの発生を報告したと発表。WHOの声明によると、中国当局は北京や北東部の遼寧省を含め、異常または新規の病原体や異常な臨床症状は検出されていないと報告したという。

中国の湖北省武漢市で2019年終盤に初期の新型コロナ感染症が報告された際、中国とWHOは共に情報の透明性を巡る問題に直面。

今回の事案について、オランダのウイルス学者、マリオン・クープマンス氏は「慎重に対応する必要がある。多くの情報、特に診断情報が必要だ」としたほか、公衆衛生の専門家でパンデミックについてWHOに助言を行ったブライアン・マクロスキー氏は「現時点で分かっていることに基づいて『パニックボタン』を押すつもりはない。中国のWHOに対する回答と、それに対するWHOの見解を見守りたい」と述べた。