• 米求人件数が大幅減、4年前の混乱想起、FRBに「実弾銃」の装備
  • 米国株の上昇はガス欠、追加利上げの可能性低いとECB理事
Shoppers on Black Friday in the SoHo neighborhood of New York, US.
Shoppers on Black Friday in the SoHo neighborhood of New York, US. Photographer: Bing Guan/Bloomberg

米国ではインフレ率が金融当局の目標をなお大きく上回っていますが、一方で労働者の最低賃金も各地で上昇しています。給与計算代行サービスのADPによれば、計22の州で来年1月1日から最低賃金が引き上げられます。ニューヨーク市では時給16ドルと、連邦法が定める同7.25ドルの2倍余りに。こうした賃金上昇の背景にはインフレだけでなく、ここ最近特に増えた労働者によるストライキを回避するという雇用主側の狙いもあるようです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

冷え込みを示唆

10月の米求人件数は873万3000件に減少し、2021年3月以来の低水準となった。労働市場が冷え込みつつあることを示唆した。市場予想は930万件。求人件数の減少は広範なセクターにわたり、ヘルスケアや金融、宿泊・食品サービスで目立った。この統計により来年の金融緩和シナリオが補強され、米国債相場は軒並み上昇した。

過去の混乱を想起

主要短期金利の急上昇は、4年余り前にこの市場を揺るがした混乱を想起させている。緊張が表面化し始めたのは先週後半だ。11月の米国債急上昇をあおった債券購入熱は、国債を担保に短期の貸し借りを行う現先市場での資金需要を急増させた。このため11月最終取引日の短期金利は大幅に上昇し、担保の債券銘柄を特別指定しないGCの翌日物レポ金利は5.50%を超えた。このエピソードは、2019年9月に起きた市場の大混乱を思い起こさせる。当時は米金融当局が国債購入をやめ、その穴埋めから銀行の準備預金が不足していた中で、政府借り入れの増加がそれを悪化させた。翌日物レポ金利は一時10%と、5倍に急上昇した。

「実弾銃」

米政策金利を高い水準で維持する連邦準備制度理事会(FRB)の決定は、経済状況が悪化すれば「必要に応じて使える実弾入りの銃」があることを意味すると、オルタナティブ投資会社アポロ・グローバル・マネジメントのジェームズ・ゼルター共同社長は述べた。事態が深刻な状況に陥れば常に中央銀行が金融市場を下支えしてくれるという、いわゆるFRBプットの概念が市場に戻ってきたとゼルター氏は指摘。しかし資本コストは向こう5年から7年にかけて上昇するだろうと、同氏は続けた。

ガス欠

11月の米国株上昇の原動力は急速に失われつつあり、投資家は反落に備える必要がある。同月の上昇を言い当てたゴールドマン・サックス・グループのタクティカルスペシャリスト、スコット・ルーブナー氏がそうした見方を示した。S&P500種株価指数は11月として過去40年で2番目の大きな上昇を記録したが、先月の「あらゆる資産のラリー」を引き起こした原動力は「今まさにガス欠状態」にあると、同氏はリポートで指摘した。

可能性は低い

先週発表された11月のユーロ圏インフレデータを受け、欧州中央銀行(ECB)は恐らくこれ以上の利上げはしないだろうと、シュナーベル理事が述べた。同理事はロイター通信とのインタビューで「直近のインフレ率を見ると、追加利上げの可能性はかなり低い」と述べた。11月のユーロ圏消費者物価指数(CPI)指数は前年同月比2.4%上昇と、エコノミスト予想を大きく下回った。

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