• NYCBショック余波続く、ドイツ銀の引当金膨らむ、英利下げに道
  • 米労働市場の冷え込み示唆、消えた米3月利下げ観測

資産家イーロン・マスク氏がテスラの新たな法人登記先に計画しているテキサス州。低税率・規制の緩さを売りにし、ESG(環境・社会・企業統治)やDEI(多様性・公平性・包摂)への反対を掲げています。「非自由主義」だとみる伝統的な米大学に対抗して各界著名人が支援するオースティン大学が設立されるなど、米国社会の分断を背景に、保守でもリベラルでもない第三極の存在としてリバタリアン(自由至上主義)を追求する人材と資金を吸い寄せています。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

ショック2日目

減配と引当金積み増しを明らかにして衝撃が広がったニューヨーク・コミュニティ・バンコープ(NYCB)の株価は続落。少なくともアナリスト5人が投資判断を引き下げ、格付け会社ムーディーズ・インベスターズ・サービスは同行の格付けを引き下げ方向で見直すと発表した。他の米地銀株にも売りが継続。一方、シチズンズ・ファイナンシャル・グループのブルース・バンソーン最高経営責任者(CEO)は、2023年に複数の地銀を破綻に追い込んだ問題の多くは過去の物であり、NYCBの問題は例外だと述べた。

借り換えリスク

ドイツ銀行は2023年10-12月に、米商業用不動産関連の損失に備える引当金が前年同期の4倍以上に膨らんだ。苦境にある同セクターに借り換えが大きなリスクをもたらすと警告した。引当金は1億2300万ユーロ(約195億円)と、前年同期の2600万ユーロから増加。前期比ではほぼ2倍になった。不動産へのエクスポージャーが引当金総額を4億8800万ユーロに押し上げ、四半期ベースで新型コロナウイルス流行で不良債権への懸念が高まった20年4-6月以来の高水準となった。

利下げに道  

イングランド銀行(英中央銀行)は政策金利を5.25%で据え置いた。今年のインフレ見通しを引き下げるとともに、追加利上げが必要となる可能性があるとの一節をガイダンスから削除し、利下げに道を開いた。ベイリー総裁は政策金利を現水準で据え置けば、インフレ率は目標の2%を「顕著に」下回ることになるだろうと認めた。ただ、総裁にとっては、スナク政権が次回の予算で打ち出す可能性がある景気刺激策が見通しを変えうる大きな未知数の一つとなる。

冷え込み示唆

米新規失業保険申請件数と継続受給者数は共に2カ月ぶり高水準となり、労働市場の冷え込みを示唆した。1月の米供給管理協会(ISM)製造業総合景況指数は、1年3カ月ぶりの高水準。新規受注が2022年5月以来の高い水準を記録し、全体を押し上げた。指数はなお縮小圏にあるものの、製造業が安定化しつつあることを示唆した。昨年10-12月(第4四半期)の労働生産性指数は市場予想を上回る伸び。通年でも生産性の向上が進み、インフレが鈍化する中で経済成長を押し上げるのに寄与した。

米利下げ予想後ずれ

バークレイズとバンク・オブ・アメリカ(BofA)は、米利下げ開始時期に関する予想を従来の見通しよりも先延ばしした。パウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長が3月の利下げの可能性は低いとの認識を示したことが背景。ゴールドマン・サックス・グループも先に、米利下げ開始時期の予想を従来の3月から5月に変更している。BofAのエコノミストは「パウエル議長が同じ回答で実質的に2回も3月利下げを排除すれば、われわれはそのシグナルを受け入れる必要がある」と指摘した。

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