▽自民32人は還流を認識、11人は不記載も把握…自民議員らへの事情聴取報告書<読売新聞オンライン>2024/02/16 05:00

記者団の質問に答える岸田首相(15日午後、首相官邸で)=川口正峰撮影

 

記者団の質問に答える岸田首相(15日午後、首相官邸で)=川口正峰撮影

自民党は15日、派閥による政治資金規正法違反事件を受け、関与した議員らに行った事情聴取の報告書を公表した。パーティー収入の還流を受けた85人のうち、32人は還流を認識し、53人は人件費などに使っていた。自民は国会の政治倫理審査会を開き、関係者に説明させる方向で調整に入った。

「派閥の指示から外れたことはできない」、多数の議員が違法性認識しつつ不記載継続…自民報告書

 聴取は安倍、二階両派の国会議員82人と元議員ら3人、6派閥・2グループの事務総長ら計91人に行われ、報告書は自民が依頼した弁護士が議員らの回答を匿名にしてとりまとめた。

 議員と元議員ら85人の全てで還流が確認され、総額は2018~22年の5年間で5億7949万円に上り、個別では3526万円が最多だった。

 還流の方法は、パーティー券販売収入に関しノルマ超過分を派閥から戻す「還付方式」が53人、議員側で預かるプール方式が16人、両方の組み合わせが16人だった。使い道は、懇親会費や書籍代、人件費、手土産代など15の実例が列挙された。

 還流を認識していた32人のうち、安倍派の11人は政治資金収支報告書に記載していなかったことも把握していた。理由について、派閥の指示を受けた対応だったためだとの回答が複数あった。安倍派で還流が始まった経緯について、報告書は「判然としないものの、遅くとも十数年前から行われていた可能性が高い」と指摘した。

 岸田首相(党総裁)は報告書を受け取った後、首相官邸で「あらゆる機会をとらえ、国民の信頼回復に向け、関係者に説明責任を果たしてもらわないといけない」と記者団に語った。政倫審の開催を念頭に置いたものとみられる。

 自民の萩生田光一・前政調会長は同日、党本部で政倫審への出席に関し、「出席の明確な基準が公表され、その対象になるなら拒むものではない」と記者団に述べた。萩生田氏は安倍派で中枢を担う「5人衆」の一人。5人衆では、松野博一・前官房長官と西村康稔・前経済産業相、世耕弘成・前参院幹事長が政倫審出席に応じる意向で、高木毅・前国会対策委員長は態度を明確にしていない。