• 米CPI、ボーイング危機が航空会社に波及、S&P500種予想
  • OPECの供給削減が停滞、欧州商業不動産のバリュエーション
Federal Reserve Headquarters Ahead Of FOMC Meeting
Photographer: Samuel Corum/Bloomberg

2月の米消費者物価指数(CPI)統計ではインフレの根強さが示唆されました。市場では6月の利下げ開始が予想されており、米連邦準備制度理事会(FRB)のパウエル議長も先週の議会証言で、利下げ開始に必要な確信は「今から遠くない」将来に得られるとの考えを示しています。ただ想定を上回るインフレが今後も続けば、当然議長をはじめ当局者の見解が変わることもあり得ます。また利下げ開始にはインフレ鈍化が広がりを見せることが望ましいと考える当局者もおり、今後のデータ次第では連邦公開市場委員会(FOMC)で見解の相違が深まる可能性もありそうです。以下は一日を始めるにあたって押さえておきたい5本のニュース。

利下げ慎重論を補強

2月のCPI統計では、変動の大きい食品とエネルギーを除くコア指数が前月に続き、市場予想を上回る伸びを示した。利下げに対する米金融当局の慎重姿勢を補強する内容となった。コアCPIは前月比0.4%上昇(市場予想0.3%上昇)、前年同月比では3.8%上昇(予想3.7%上昇)だった。チャールズ・シュワブのチーフ債券ストラテジスト、キャシー・ジョーンズ氏は「今回のCPIは恐らく、政策をもうしばらく据え置く根拠と見なされるだろう」と指摘した。

航空会社も混乱

米ボーイングの信頼性を巡る危機は、同社製の機体を購入する航空会社にも波及しつつある。ユナイテッド・エアラインズ・ホールディングスやサウスウエスト航空、デルタ航空、アラスカ航空などが集まった12日の業界会合では、ボーイングの問題が各社のビジネスにどう影響を及ぼしているかについての話が多く聞かれた。最も顕著だったのは、ボーイングの生産が滞っていることで、航空会社が以前から運航を計画していた機体が不足していることだ。

引き上げの根拠なし

モルガン・スタンレーのマイク・ウィルソン氏は、年末のS&P500種株価指数の予想を4500で据え置いた。ウォール街で米国株への楽観的な見方が強まっているが、ウィルソン氏は広範にわたる利益の伸びが見られないと指摘。見通しを引き上げる正当な理由は見当たらないとしている。同氏の見通しは、S&P500種の前日終値である約5118を12%程度下回る水準だ。ブルームバーグが追跡したウォール街のストラテジスト予想平均値(4915)と比べると8%低い。

停滞

石油輸出国機構(OPEC)の供給削減が滞っている。イラクが2カ月連続で割り当てられた生産枠を上回る生産を続けたことが背景にある。同国はOPECの合意に従わないことも多い。OPECが12日発表した報告によると、イラクの2月の生産は平均で日量420万バレルと前月から同1万4000バレルの減少にとどまった。OPECで合意された生産枠を同約20万バレル上回ったことになる。

底に接近

 欧州の商業用不動産のバリュエーションは、金利と景気への懸念から大きく落ち込んだが、今では底に近づいている。ゴールドマン・サックス・グループのアナリストがこうした見方を示した。ジョナサン・コウナトー氏ら同社アナリストは、バリュエーション低下の初期スピードは過去35年間における他のどのサイクルよりも急だったが、最近では値下がりペースが減速しているとリポートで指摘。これはピークから谷への軌道が2008年の世界金融危機ではなく、1989年の危機時により近い形になる可能性を示唆すると分析した。

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