Jordan Fabian、野原良明、Josh Wingrove

  • 「私は約束守る男」、買収に反対する米労働者への支持を再度表明
  • 日米両国にとって良い話し合いになることを期待している-岸田首相

バイデン米大統領は10日、日本製鉄によるUSスチール買収計画に関して、買収に反対する米労働者への支持をあらためて表明した。ただ、USスチールに米資本を維持するべきだという、先月示した考えを繰り返すことはなかった。

  ホワイトハウスで行われた岸田文雄首相との会談後の共同記者会見で、バイデン大統領は「米労働者に対するコミットメントを堅持する」と発言。「私は約束を守る男だ」と述べた。

  バイデン大統領は、日鉄による140億ドル(約2兆1400億円)規模のUSスチール買収計画について記者団の質問を受けて答えた。日鉄は昨年12月に買収を発表し、現在、対米外国投資委員会(CFIUS)による審査が行われている。

  今年の大統領選で再選を図るバイデン氏にとって、この買収計画は、日本や他のインド太平洋諸国に対する支持と、米国の製造業強化という相反する目標を政権が抱えていることを浮き彫りにする。

  共同記者会見を受けて、USスチールの株価は10日のニューヨーク市場で上昇し、一時1.7%高の42.655ドルを付けた。日鉄が提示している買収価格である1株55ドルとは、まだ大きな開きがある。

  岸田首相は共同会見の席で、この件は「現在、当事者間で話し合われていると承知している。日米両国にとって良い話し合いになることを期待している。日本としては米国政府において法に基づき適正に手続きが進められると考えている」と述べた。

  バイデン氏は3月、USスチールについて「米国の鉄鋼会社として国内で保有され、経営を続けていくことが極めて重要だ」との声明を発表していたが、この日はそうした発言はなかった。一方、それを撤回することもしなかった。

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原題:US Steel Shares Jump as Biden Bites Tongue Over Nippon Steel Bid(抜粋)

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▽日鉄のUSスチール買収、米司法省が反トラスト法調査開始=報道<ロイター日本語版>2024年4月11日午前 7:05 GMT+9