梅川崇、浦中大我
農林中央金庫は22日午後、前期(2024年3月期)の連結決算を発表する。運用収益が悪化した外国債券の売却に伴う損失をカバーするため、1兆2000億円の資本増強を検討していることが明らかになっており、決算会見での奥和登理事長の説明に注目が集まる。
ブルームバーグは20日、事情に詳しい関係者の話に基づき、農林中金が有価証券ポートフォリオを見直す結果、今期(25年3月期)決算で5000億円超の大幅な赤字に転落する可能性があると報じた。
農林中金は昨年12月末時点で約56兆円に上る運用資産残高を抱える国内でも有数の機関投資家。運用資産の半分以上を債券が占める。22年に米連邦準備制度理事会(FRB)が積極的な利上げを開始したことを受け、利回りの低い時に購入した債券の収支が悪化。含み損を抱えるこれらの債券を今期に処分して損失を計上する見込みだ。
S&Pグローバル・レーティングは21日、「今期最終損益が大幅損失となった場合、農林中金が抱える金利リスクや収益の変動性の高さを示唆するものと考える」とのリポートを発表した。
国内では長く超低金利が続いたことで、国内の銀行や保険会社と同様に農林中金もより高い利回りを求めて外債などへの投資を増やしてきた。ただ、米金利の上昇によって保有債券の含み損が拡大したほか、外貨調達コストの増加に伴い利益を圧迫している。
農林中金の昨年12月末の債券の評価損は約1兆9000億円に達し、22年3月末の約3300億円から大幅に悪化していた。
農林中金の決算が最終赤字となれば、5721億円の巨額損失を計上した09年3月期以来となる。当時はリーマン・ショックを受けた金融市場の混乱で保有する証券化商品や株式の減損処理を迫られた。傘下の金融機関を引受先とした1兆9000億円の資本増強を行った。
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