By 浦中美穂, Brigid Riley
[東京 3日 ロイター] – みずほフィナンシャルグループ (8411.T), opens new tab傘下の大手資産運用会社アセットマネジメントOneは、年内に日本の大型株に特化したアクティブ型ファンドを立ち上げる。現在主力の外国株や中小型株ファンドと異なり、同社初の旗艦ファンドとして社内態勢を整える。
杉原規之社長はロイターとのインタビューで、「金利ある世界」への移行が進む中、日本経済の成長に対する投資家の需要を捉えて、将来的には同ファンドの残高を5000億円規模にしたいとの考えを示した。目標時期については言及しなかった。
杉原氏は「今まさに日本株運用の強みを生かせる局面。大型ファンドを組成して、育てていく」と話した。50銘柄前後の大型株に集中投資する方針。
日本の投資家の関心が運用実績の良い米国株やグローバル株に向く中で、日本企業対象の大型株ファンドの設立は珍しいという。
杉原氏は、日本株の需要に対する受け皿を提供することは、岸田文雄政権が掲げる「資産運用立国」達成のための「カギになる」とも語った。
外国株ファンドの運用成績がさえなかったこともあり、資金流出が続いたアセマネOneでは、課題だった商品力や販売会社支援などを強化している。関心が高まる日本株の受け皿としての大型旗艦ファンドの立ち上げはその一環でもあり、運用力・営業力向上に向けて人材の育成や再配置なども進めている。
<個人投資家、完全には戻らず>
年初から好調だった日本株は8月上旬、米国の景気後退懸念や円高・ドル安の進行で歴史的な急落を見せた。同社でも、投信を売却する動きがみられ、下落直後には残高が「がくっと」(杉原氏)減少した。その後も個人投資家に関しては完全に戻っているわけではないという。
杉原氏は、日本株の調整について「(日本経済の)ファンダメンタルズ(基礎的条件)が変化したわけではなく、短期のモメンタムトレーダーによる持ち高調整が中心」として、長期投資の重要性とともに「こうした背景を投資家に理解してもらう必要がある」と説く。
<複数年で評価も>
上場企業に対しては、エンゲージメント(対話)活動の強化も推し進める。自己資本利益率(ROE)やTSR(トータル・シェアホルダーズ・リターン)、政策保有株削減などをガイドライン化してきた。
ただ、短期的に杓子定規に評価するのでは実効性が薄いとして、今秋には2030年をめどとする中期的な目標の公表を通じて、複数年にわたる取り組みを評価する仕組みも提示していく方針という。
同社は、上場企業以外にも、未上場の時期から上場後も支援する「クロスオーバーファンド」も立ち上げた。既存ファンドのテコ入れ、新規の大型株式ファンドとあわせて商品を多様化させる。
杉原氏は資産運用・資産管理分野で20年以上のキャリアを有し、16年のみずほグループ内の4社機能統合によるアセマネOne発足に際しては、統合推進の責任者の1人として対応。昨年4月に社長に就任した。
アセマネOneの純資産額は7月末現在、約69兆円と国内の資産運用会社4位。
*インタビューは8月28日に実施しました。
浦中美穂