石破茂氏は首相就任前に、先んじて衆院選の実施を明言した。この対応は、憲法に違反する疑いがあるとの批判が出ている。
石破氏は9月30日、新総裁として記者会見した自民党本部で衆院の解散に踏み切る方針を示し、10月27日に衆院選を実施することを表明。「首相でない者がこのようなことを行うのは、かなり異例なことだと承知をしている」と述べた。
立憲民主党の野田佳彦代表は1日、参院議員総会で「異例で済む話ではない。解散総選挙に関わることで憲法違反の疑いがあっていいのか」などと批判した。
国会の解散は、憲法の7条と69条に規定されている。7条では解散を内閣の助言と承認を受けた天皇の国事行為と定める。天皇は国政に関する権能を有せず、事実上首相が判断するため「首相の専権事項」とされる。
69条は、内閣不信任決議案が可決された時、首相は衆院を解散することができるとしている。
まだ「政党の党首」にすぎなかった石破氏が衆院の解散に言及したことは、おきてである憲法に違反するのではないのか。これが批判の中心となっている。
神奈川大法学部の大川千寿教授(政治学)も石破氏の対応について、憲法違反の疑いがあるとしたうえで、「石破政権に事態の悪化をもたらしている」とし、こう説明する。
「石破氏は首相の解散権行使について、慎重であるべきだとの姿勢を見せていました。それなのに、党内の意見に押されて早々に選挙戦略として早期解散を表明したことで、ブレが露呈しました」
大川教授は、首相が代わったからといって「自民党政権の方針が大きく変わるわけではないし、評価すべき実績もまだない」と指摘。今回の衆院解散の表明について「党利党略が色濃く、日本の政治にとって妥当なのか問われるべき問題です」と話す。【山崎明子】
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