地方公務員共済組合連合会(地共連)は、上場株式や債券といった伝統的資産とは異なるオルタナティブ(代替)資産の構成割合を5%近くまで高めることを目指す。不動産やプライベートエクイティー(未公開株、PE)などへの投資残高を2030年3月末までに現状の2倍以上となる7400億円超に増やす計画だ。

  植村哲理事がブルームバーグの取材に応じた。リターン向上に向け運用多様化をさらに進める必要があると判断。時価の変動で読めない部分はあるものの、オルタナ比率を3月末時点の2.1%から向こう数年で運用方針として定めた上限の5%近くまで高めたい考えだ。

  地方公務員の年金を運用する地共連の運用資産は3月末時点で約35兆円に上る資金の出し手である「アセットオーナー」として想定された主要年金の中でも、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に次ぎ日本で2番目に資産規模が大きい。

  岸田文雄前首相は運用規模の大きい公的アセットオーナーに、運用力強化に向けた方針の提示を求めた。地共連はそうした要請に対応する一環でオルタナ投資推進を打ち出している。同様の動きは他の公的年金でも見られ、大型機関投資家の間でオルタナ投資強化の機運が今後高まる可能性もありそうだ。

  地共連が投資対象とするオルタナ資産は不動産、インフラストラクチャー、PE、プライベートデット、バンクローン幅広い。具体的な積み増し対象については「リスク分散を含め、どう伸ばしていくか考える」と検討課題としたが、公的年金としてそれぞれの資産で比較的リスクを抑えた商品を中心に上積みする。

  オルタナ資産に投資するファンドを通じて、運用資産35兆円のうち17兆円超を占める厚生年金のための積立金で投資してきた。オルタナ資産の構成割合はGPIF(3月末で1.5%)などを上回り、同積立金の2.1%に当たる約3700億円の残高がある。

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