シリアのアサド政権が崩壊してきょうで5日目、暫定政権が成立し本格的な後継政権づくりが始まっている。シリアは言うに及ばず中東情勢にズブの素人。複雑に入り組んだ反アサド派の結束はあるのか、シリアを取り巻く関係各国の利害は調整できるのか、素人なりに気になっている。アサド政権が反体制派攻撃に使用したとされる化学兵器はどうなったのか、「屠殺場」といわれた悪名高いセドナヤ刑務所のその後、アルカイダとの関係は今も続いているのか・・・。中でも一番気になるのはロシアとの関係だ。イランやヒズボラとともにアサド政権の後ろ盾となり、反政府勢力と敵対してきたロシア。ロイターが今朝配信した記事によると「タルトゥースとフメイミームに設置しているロシアの軍事基地については、今もなお存在している」とある。ロシアのボグダノフ外務次官12日、アサド政権を倒した「シャーム解放機構(HTS)」の政治委員会と直接接触しているとしている。

地中海に面した軍港と軍事基地からなるこの軍事施設はボクダノフ氏によると、「シリアの要請で設置された」という。フェイク情報を折りに触れて発信するロシアである。事実関係は定かではない。理由は過激派組織「イスラム国」(IS)の残存勢力との戦いはまだ終わっておらず、「国際テロ組織」との戦いを継続するために必要ということのようだ。反政府勢力と敵対し続けてきたロシア、素人目にも「いけ図々しくよくそんなことが言えるもんだ」という気がする。しかし、同氏はHTSとの接触は「建設的に進んでいる」と強調する。ウクライナ戦争にかまけてアサド政権を見捨てたロシア、地中海に面した2つの軍事施設は安全保障の観点から手放したくないのだろう。ここがなくなれば海路としては黒海以外に中東への足掛かりがなくなってしまう。アサド政権は見捨てても軍事施設は手放したくないわけだ。

ロイターは「ロシアは基地の維持を望んでいる」と指摘する。そりゃそうだろう。自国の安全を保障するためには海外であれ国内であれ、強固な軍事基地が必要になる。ロシアは2つの軍事施設のためにアサド政権を支援してきたのではないか。ゲスの勘ぐりだが、ウクライナ人を無差別に殺戮するロシアだ。そう考えたくもなる。2つの軍事基地の行方だけではない。化学兵器は適切に処分されたのか。イスラエルは化学兵器工場の破壊を目指して、アサド政権崩壊直後にシリアに過去に例を見ないような大規模な爆撃を行なっている。情勢は混沌としている。何が真実で何がプロパガンダか、素人目には見分けがつかない。頼りはメディアということになる。日本の主要メディアはほとんど期待できない。海外メディアが発信する情報をえり分けながら、真実と思しきものに近づく以外に手はなさそうだ。世界が複雑化する中でメディアの役割は大きくなるが、フェイクニュースも急増する。