来年1月20日の就任を前に、トランプ次期大統領の「威圧外交」がますます激しくなっている。パナマ運河の管理権の返還を主張したかと思えば、デンマークの自治領グリーンランドの購入に意欲を示し、挙げ句の果てに隣国カナダについて「米国の51番目の州になるべきだと」と言い放つ。いくらアメリカファーストでも、これはさすがに言い過ぎだろう。「日本はすでに51番目の州だ、カナダは52番目」と軽いジョークを言いたくもなる。一方でトランプ氏の再登場で盛り上がっていたマーケットはここにきて沈静化の兆しが見えてきた。「威圧外交」の激しさに、トランプ信奉者の間にも若干の不安心理が芽生え始めたのだろう。もうすぐ始まるトランプ政権の先行きはどうなるのか。そんなことを考えながらニュースを見ていて面白い指標を発見した。米株式市場に伝えられる「サンタクロース・ラリー」だ。
折からクリスマスが本番を迎えている。クリスマス・ラリーともサンタ・ラリーとも称されるこの指標は、ブルームバーグによると次のよう定義と意味があるそうだ。ラリーは年末の5営業日と新年最初の2営業日に株価が上昇する現象を指すとのこと。今回はクリスマスイブの昨日、世界中で平和を祈るイベントが繰り広げる中でラリー初日を迎えた。株価は大幅に続伸、幸先の良いスタートとなった。専門家によると「1950年以来、S&P500種はこの期間に平均および中央値で1.3%のリターンを得ており、通常の7営業日平均リターンの0.3%を大きく上回っている」とのこと。このラリーがプラスのリターンをもたらした場合、「S&P500種は1月に平均1.4%、翌年通年で10.4%のリターンをそれぞれ生み出している」という。威圧外交も何のその、サンタ・ラリーがプラスに終わればトランプ政権の1年目に株価は上がるとマーケットは読んでいるわけだ。
大統領の選挙期間中にトランプ氏は大風呂敷を広げている。所得税減税にとどまらず法人税の減税も約束。中国からの輸入品に60%の関税をかけると宣言したほかカナダ、メキシコにはすでん25%の関税付加を通告している。この大胆な経済政策は本当に実行されるのか、世界中が疑心暗鬼の眼差しで推移を見守っている。トランプ氏は言動も激しいが、手のひら返しも頻繁に行う。メキシコとカナダは威圧外交の見せしめかもしれない。トランプ氏の要求を受け入れれば、関税の付加は「やめた」ということになる可能性も。口先介入で圧力をかけ、言うことをきけば前言を撤回する。「世界中の指導者よ、この現実を見よ」、要はディールの一環なのだろう。時代は不透明だ。そこに意外性の塊であるトランプ政権が絡んでくる。果たしてサンタクロース・ラリー、来年通年を予言できるか・・・。