日本の未来を占う上で2025年は極めて重要な年になる。自公の少数連立政権にとって最大の責務は、来年度予算案の年度内成立。そのためには野党から最低15議席の協力が必要になる。衆院の勢力図は定数465議席に対して与党が218議席(自民194議席、公明24議席)、野党が247議席(立憲民主党148議席、日本維新の会38議席、国民民主党28議席、れいわ新選組9議席、共産党8議席など)。過半数は233議席。野党が一致協力すれば過半数の確保は可能だが、各党各会派とも独自路線の同床異夢だ。非自民でまとまりそうになり。結果的に自公対野党の個別交渉スタイルが定着している。この交渉スタイルが少数与党を利する形になっている。少数政権の誕生で政策論議が活発化しているだけに、この状況はもったいない。せめて連立政権は無理でも、主要3党が結束して予算案の大幅修正ぐらいは実現してほしいものだ。いまできること、それをやるだけで日本の風景が激変する。日本の未来は野党の主要3党が握っている。
年明け早々のラジオ番組で石破総理は「大連立構想」を持ち出した。立憲民主を意識した発言で、維新と国民民主を牽制する意味を込めたのだろう。早くも与野党による舌戦の火蓋が切って落とされた。水面下で大連立を推進しているのは財務省だろう。立憲の幹部の中には野田政権時代に財務省と気脈を通じた人が何人もいる。そうした人脈を通じた大連立構想はすでに水面下で進んでいるのかもしれない。野田氏と同じく財務省に取り込まれた石破総理の心情が透けて見えるようだ。野田氏は4日、恒例の伊勢神宮参拝後の記者会見で参院選に触れ、「与党の過半数割れを目指す」と敵対姿勢を強調した。大連立構想についても「少数与党に追い込まれた苦渋から生まれてきている発言ではないか」(毎日新聞)と分析してみせる。その上で「大きな危機があった時に考えられる選択肢であって、平時では考えていない」と大連立を否定した。同氏氏には野党時代「シロアリを駆除するまで増税はしない」と発言しながら、総理になった途端に社会保障と税の一体改革で消費税の大増税に踏み切った過去がある。
維新と国民民主も波乱要因を抱えている。維新は共同代表の前原誠司氏が昨年末、補正予算に賛成する条件として高校教育の無償化を持ち出した。石破総理との直談判で「検討する」との言質をとり補正予算に賛成した。国民民主党は自公を加えて3党の幹事長が合意文書を取り交わしたが、維新は単なる口頭了解だけ。おまけに石破氏と前原氏は鉄道オタクという共通の趣味で結ばれている。そんな個人的な関係で政策判断が左右されるとは思わないが、教育無償化を提起した維新の行動によって、自公連立政権は維新を取り込む手がかりを得たことになる。これこそが個別交渉の弊害だ。キャスティング・ボートを握ったはずの国民民主は「譲歩が難しい状況」に追い込まれた。妥協にも高い壁がある。所得控除の水準は130万円か、150万円か。あくまで178万円で突っ張るか。難しい判断を強いられる。国民からみれば178万円も企業献金廃止も、教育無償化も勝ち取ってほしい。政権に参加しなくても結束するだけで政策は実現できる。3党の“度量”やいかに・・・。