厚生労働省が9日発表した2024年11月の毎月勤労統計調査(速報、従業員5人以上の事業所)は、名目賃金から物価変動の影響を除いた実質賃金が前年同月より0.3%減った。物価上昇に賃金の伸びが追いつかず4カ月連続のマイナスとなった。

名目賃金を示す現金給与総額は30万5832円で3.0%増えたものの、消費者物価指数(持ち家の帰属家賃を除く総合)の伸び率が3.4%と上回った。11月はコメや野菜など食品の価格上昇が目立ったほか、政府による電気・ガス代の補助が縮小したことが影響した。

実質賃金は22年4月以降、夏季賞与の押し上げ効果があった24年6月と7月を除いてマイナスが続いている。

現金給与総額のうち基本給を中心とする「所定内給与」は2.7%の増加と32年ぶりの高い伸びだった。企業の賃上げや最低賃金の引き上げの効果が出ている。一部企業では冬季賞与の支払いが始まったとみられ「特別に支払われた給与」も7.9%増えた。

厚労省の担当者は「物価の動向は見通せないが、賃金は着実に伸びている。賃上げが継続する環境を整える必要がある」としている。

総実労働時間は0.2%短い140.4時間だった。

働き方ごとに見た現金給与総額は、正社員を中心とするフルタイム労働者が3.0%増の39万2121円、パートタイム労働者が4.4%増の11万2109円だった。パートタイム労働者の時給換算した所定内給与は4.7%増の1371円だった。

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