去年の東京都知事選挙で2位となった石丸伸二氏がことし行われる都議会議員選挙に向けて地域政党「再生の道」を立ち上げ、今後、公募で候補者を募り、42のすべての選挙区で擁立を目指すことを明らかにしました。
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石丸伸二氏は広島県安芸高田市の前市長で、去年7月の東京都知事選挙に無所属で立候補し、小池氏に次いで2位となりました。
石丸氏は15日、都内で会見を開き、ことし行われる都議会議員選挙に向けて、みずからが代表を務める地域政党「再生の道」を立ち上げたことを明らかにしました。
自身は立候補せず、今後、公募で候補者を募り、42のすべての選挙区で擁立を目指すということです。
また、党の唯一のルールとして多選の制限を設け、2期8年を都議会議員としての上限にするとしています。
石丸氏は「ずいぶん前から『日本がまずい』、『なんとかしなければいけない』という思いが募っていて、日本をよみがえらせるという意味を込めて『再生』とした。広く国民の政治参加を促し、それぞれの自治体の自主性や自立性を高め地域の活性化を進めていく」と述べました。
石丸伸二氏とは
石丸伸二氏は広島県安芸高田市出身の42歳。
京都大学を卒業後、今の三菱UFJ銀行に勤めたあと、2020年、地元・安芸高田市長選挙で初当選しました。
就任後は、市議会の最大会派との対立なども含め、SNSで積極的に発信して、注目を集めました。
そして、去年、1期目の途中で市長を辞職したあと、都知事選挙に立候補しました。
選挙戦では連日、都内各地を回って演説し、見に来た人が撮影した街頭演説の映像をSNSで拡散することを狙い、無党派層などに急速に支持を広げて小池氏に次ぐ165万票あまりを獲得しました。
その後、ユーチューブチャンネルなどで地方行政や政治などに関する情報発信を続け、去年11月には、ことし行われる都議会議員選挙に向けて地域政党をつくる考えを示していました。
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【ノーカット動画】石丸氏の記者会見
石丸氏の記者会見の様子をノーカット動画でお伝えします。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20250115/movie/k10014693781_202501151329_202501151330.html石丸氏の記者会見 1時間45分
東京都議会 議員定数と各会派の議員数
東京都議会の議員定数は127人です。
各会派の議員数は
▽自民党が30人
▽都民ファーストの会が27人
▽公明党が23人
▽共産党が19人
▽立憲民主党が14人
▽ミライ会議が4人
▽自由を守る会が2人で、
▽無所属が5人
▽欠員が3、となっています。
ことしは12年に1度、都議会議員選挙と参議院選挙が重なる年となり、各党は都議会議員選挙を参議院選挙の前哨戦と位置づけて臨む構えで、選挙結果は国政にも影響を及ぼすものとみられます。
自民党都連 井上会長「一定の影響力はあると思う」
自民党東京都連の会長を務める井上・元万博担当大臣はNHKの取材に対し、「東京都知事選挙であれだけの得票を得た人なので、一定の影響力はあると思う。いろいろな人が立候補することで政策論争が活発になり、選挙に関心が高まることはいいことだ」と述べました。
その上で「自民党として都民のためになる政策にしっかりと取り組み、信任を得るべく全力を尽くしたい。東京都議会議員選挙では、全選挙区での候補者の擁立を目指していく」と述べました。
都民ファーストの会 森村代表「我々は小池知事と協力 政策実現」
都民ファーストの会の森村隆行代表はNHKの取材に対し、「石丸氏の主張はわれわれが行ってきた改革と共通する部分もあると感じたが、都民ファーストの会は都民の活力を最大化するため小池知事と協力しながら政策の実現まで行っていくのが最大の違いだ」と述べました。
その上で「選挙での論戦を通じて、これまで進めてきた都民のための改革とこれから進めていく政策をこれまで通り訴えていきたい。全員の当選を目指して、新党を含む他党と意見を交わしていきたい」と述べました。
公明党都本部 岡本代表「選挙においては脅威 歓迎しながら議論」
公明党東京都本部の代表を務める岡本政務調査会長はNHKの取材に対し、「勢いのある人が新しい政党を立ち上げるので、選挙においては脅威だ。ただ、都民にさまざまな選択肢が出てくるので、歓迎しながら議論し、東京都の行政と政治を前に進めていきたい」と述べました。
その上で「公明党にとって東京都議会議員選挙は最も大切な選挙の1つだ。東京都で行う政策をモデルに全国で展開するものが歴史的にもたくさんあるからだ。党としては20選挙区で22人の候補者全員が必ず当選することが目標となる。国政や自治体に多くの議員がいる党のネットワークが生きてくる」と述べました。
共産党都議団 和泉幹事長「今までの形でない政治を求めている」
共産党都議団の和泉尚美幹事長はNHKの取材に対し、「有権者の石丸さんへの期待は、今までの形ではない政治のありようを多くの人が求めている結果だと思う」と述べました。
その上で「野党がしっかりしてほしいという願いは多くの皆さんが思っていると思う。私たちが、そういう思いにしっかりこたえることで情勢は変わると思うので、都民の暮らしを応援する政策を広く訴え、今ある19議席を確実に確保しさらに上積みをしたい」と述べました。
都議会立憲民主党 竹井幹事長「政策が語られず見極めが難しい」
都議会立憲民主党の竹井庸子幹事長はNHKの取材に対し、「政策が1つも語られず、東京をどうしようとしているのかわからないので見極めが難しいが、閉塞感があって、既成政党ではできないことがこの人ならできるんじゃないかと注目をされているのだと思う」と述べました。
その上で「都議選に向けてはたくさん候補者を擁立して『数打てば当たる』ということではなく、しっかりとそれぞれの地域で、思いを持った人を擁立し勝ち上がっていきたい」と述べました。
日本維新の会 吉村代表「連携や参加の可能性もある」
日本維新の会の吉村代表は大阪府庁で記者団に対し、「新党はおもしろいと思うし、期待もしている。政治屋を一掃して、多選を禁止し、2期で腹をくくってやるべきことをやり遂げるというのは、新しい地域政党の形だと思う」と述べました。
その上で「覚悟を決めて政治をやるというのは、非常にわれわれとも近いところがあるし、一極集中ではなく多極分散の国家を目指したいというところは、価値観を共有している。連携や参加の可能性もあると思うので、前向きに考えていきたい」と述べました。
国民民主党 玉木氏「連携するか判断難しく もう少し見定めたい」
国民民主党の玉木氏は今後、連携するかどうかは掲げる政策などを見て判断したいという考えを示しました。
石丸氏は記者会見で国民民主党と連携する考えがあるか問われたのに対し、「支持層が重なるので話はできると思っている」と述べました。
これについて国民民主党の玉木氏は記者団に対し、「支持層が重なっている部分があるというのは指摘の通りだ」と述べました。
その上で「政策がまだ出ていないので全体像がよくわからない。今の時点で連携するかどうか判断するのは難しく、もう少し見定めたい」と述べました。