- 中国経済、24年の成長目標達成-貿易黒字は1兆ドル近くに膨らむ
- ベッセント氏は中国を「世界史上最も不均衡な経済」と批判
中国の2024年の国内総生産(GDP)成長率は5%と、5%前後に設定されていた政府目標を達成した。十分に予想されていた結果であり、驚きはほとんどなかった。しかし、今回の数字を詳しくみると、中国経済の貿易依存が対米関係を悪化させる恐れがあることが分かる。
中国のGDP統計が発表される数時間前、トランプ次期米大統領が財務長官に指名したスコット・ベッセント氏は、中国が「恐慌とまではいかないまでも、深刻なリセッション(景気後退)」から「輸出で抜け出そうとしている」と非難した。
国家統計局が17日発表した経済指標では、中国経済は引き続き貿易を原動力とする一方、個人消費がなお伸び悩んでいることが示された。これでは、世界の通商を一変させる恐れがあっても、トランプ次期大統領に新たな貿易戦争に乗り出すよう促す声を抑えることはほとんどできないだろう。
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China’s Economic Growth Remains Two-Speed
Consumption has been growing at a weaker pace than production
Source: Bloomberg Economics, National Bureau of Statistics
Note: Dec 2019 level =100
トランプ次期政権が近く向き合うことになる中国経済は、その工業力と製造業の海外における優位性をてこに、昨年半ばの景気停滞を乗り切ろうとした。
昨年10-12月のGDPは6四半期ぶりの高い伸びとなり、国家統計局は「経済が著しく回復した」と指摘した。
だが、この数字の裏では、名目と実質の成長率のかい離が広がっていた。慢性的な内需の弱さを反映する物価低迷の結果であり、世界2位の規模を誇る中国経済を圧迫する最大の問題にもなっている。
24年の名目GDP成長率は4.2%に鈍化。1970年代後半に市場経済への移行を開始して以降、2番目に小さな伸びにとどまった。なおインフレが続く世界にあって、中国のGDPデフレーターは昨年0.8%下落し、25年も3年連続でマイナスになると予想されている。
China Records Second-Lowest Nominal Growth in Decades
Nominal expansion was the weakest since the 1970s, barring 2020
Source: National Bureau of Statistics, Bloomberg
マッコーリー・グループの中国経済責任者、胡偉俊氏は「25年における最大の問題は中国のインフレ率が持ち直すかどうかであり、それは刺激策がどの程度講じられるかに全面的にかかっている」と話す。
弱い名目成長率は、労働者の賃金や企業収益の伸び悩みを示唆し、個人消費や企業投資を圧迫するため問題になる。これらが相まって、内需の低迷を招き、国内の工業生産の流れを吸収できず、物価は下落し、輸出が急増する。
その結果、中国の昨年の貿易黒字は1兆ドル(約156兆3000億円)近くにまで膨れ上がり、世界中で保護主義的な対抗措置の波を引き起こした。あまりにも偏った貿易収支を踏まえ、ベッセント氏は16日、米上院で開かれた指名承認公聴会で、中国を「世界史上最も不均衡な経済」と批判した。
China’s Economic Momentum Seen Stabilizing Recently
Alternative measure of GDP growth largely stable after slowdown in 2Q
Source: QuantCube Technology
今のところ、一つだけ確かなことがある。中国国内の消費を増やし、トランプ次期政権による関税の嵐が中国に向かうのを避けたいのであれば、当局はもっと手を打つ必要がある。
バンク・オブ・アメリカ(BofA)グローバル・リサーチの大中華圏担当チーフエコノミスト、喬虹氏は中国経済が「あらゆる人の期待を高めるような大規模な政策パッケージ」を必要としていると指摘した。
喬氏はブルームバーグテレビジョンとのインタビューで、当局は昨年9月にそれをやろうとしたが、今はその勢いが少し失われているとし、「恐らく3月か4月くらいまでには、さらに行動する必要があるだろう」とコメントした。
Source: Bloomberg
原題:China’s Growth Underscores Bessent’s Call to Rebalance Trade (1)(抜粋)