By Steve Holland, Matt Spetalnick, Jeff Mason
[ワシントン 4日 ロイター] – トランプ米大統領は4日、パレスチナ自治区ガザについて、パレスチナ人が別の土地に再定住した後に米国が掌握し、経済発展させるという計画を提案した。
訪米中のイスラエルのネタニヤフ首相との共同記者会見で明らかにしたが、詳細には言及しなかった。米国がどのような権限で、どのようにガザを所有することができるのかとの質問には直接答えなかった。
トランプ氏はこれまで、ヨルダン、エジプトなどアラブ諸国にガザ住民の受け入れを繰り返し要請しているが、周辺国は強く拒否している。今回の提案ではこれまでの主張を超えて、パレスチナ人の「恒久的な」再定住を支持するとしている。
トランプ氏はガザ地区について、長年にわたる「死と破壊の象徴」と表現し、そこに住むパレスチナ人は外国の「さまざまな土地」に住むべきだと発言。
「われわれが(ガザを)所有し、そこにある危険な不発弾やその他兵器の全てを解体する責任を負う」とし、「開発し、何千何万もの雇用を創出する」と述べた。そこに誰が住むのかとの質問には「世界中の人々」の故郷になる可能性があると答えた。
さらに、この案が「中東地域に大きな安定をもたらすと考えている」と主張し、地域の指導者らもこの考えを支持したと述べた。
また、ガザ訪問の考えを示したが、時期については明らかにしなかった。
ネタニヤフ首相は、トランプ氏が斬新なアイデアで既成概念にとらわれずに考えていると述べた。
ガザ住民の強制移住は国際法違反となる可能性が高く、域内だけでなく西側同盟国からも強い反対が見込まれる。人権活動家の中には、こうした考えを民族浄化に例える声もある。
イスラム組織ハマス幹部のサミ・アブ・ズフリ氏は、ガザ住民に退去を求めたトランプ氏を非難し、「地域に混乱と緊張を生み出す原因になると考えている。ガザの人々はそうした計画を認めないためだ」と語った。
サウジアラビア政府は声明で、パレスチナ人を彼らの土地から追い出そうとするいかなる試みにも反対すると強調。パレスチナ国家の樹立なしにイスラエルとの関係を確立することはないと表明した。
トランプ氏は、自身の提案に対するパレスチナやアラブ諸国の指導者らの反応について問われると、「彼ら(パレスチナ人)がどうしてとどまりたいのか分からない」と発言。パレスチナ人は「良い家で幸せに暮らせ、撃たれたり殺されたりしない場所」で生活するためにガザから永久に去るべきだと示唆した。
ジョナサン・パニコフ元米国家情報副長官(近東担当)は、トランプ大統領の計画は米軍の長期的なコミットメントを意味し、実現すればアラブ世界から米国は「イラクやアフガニスタンでの国づくりの教訓を学んでいない」と見なされるだろうと述べた。