
立憲民主党が2025年度予算案に関する自民、公明両党との修正協議に乗り出す。夏の参院選を控え、与野党協議で先行する日本維新の会や国民民主党に対抗。自民派閥裏金事件の追及とは切り離し、財源論とセットで予算案の見直しに力点を置く「責任政党」としての存在感発揮を狙う。ただ野党第1党が予算案賛成に回るのは困難とみられる。事件解明へ迫力を欠く可能性もあり、ジレンマを抱えている。
立民は14日に予算修正案を公表し、与党との協議に入る。「政権を目指す責任政党として、財源を伴う修正にこだわってきた。与党からも評価をもらえるのではないか」。立民の重徳和彦政調会長は13日の記者会見で、こうアピールした。
石破政権が少数与党で迎えた昨年末の臨時国会で、立民は能登半島の復旧・復興に関する補正予算見直しを要求。28年ぶりの予算修正につなげた。今国会では衆院予算委員会の省庁別審査で政府基金や給付事業の事務負担の在り方を疑問視。返す刀で高額療養費の負担上限引き上げ凍結などの実現を迫る。
与党は予算案への賛同を取り付けようと、維新、国民民主と協議を続けるが、折り合うめどは立っていない。「立民ともお近づきになりたい」。12日、自民の小野寺五典政調会長は国会内ですれ違った立民幹部へ冗談交じりに水を向け、その夜の重徳氏との会合で立民との修正協議入りに合意した。
一方、立民の協議「参戦」は、野党間の主導権争いの色彩もにじむ。9日に投開票された横浜市議補選では、国民民主新人が立民、維新、共産3候補を破り当選。東京都議選(6月22日投開票)も見据え、立民若手は「政策論で後れを取るように映るのはよくない」と指摘した。
立民は先の臨時国会で、修正後の補正予算採決では反対に回った。今回も「丸のみ」(重徳氏)を求めるのが基本姿勢で、自民内でも「実際の賛成は期待できない」との見方が大勢だ。
裏金事件を巡っては、衆院予算委が議決した旧安倍派会計責任者(当時)の参考人招致はいまだに実現していない。ただ立民の野田佳彦代表は13日、記者団に「予算を人質に取るやり方は、国民生活を考えれば望ましいことではない」と述べ、予算審議の日程とは切り分けて対応する方針を重ねて示した。
「日程闘争」を封印する立民の対応に、自民幹部は「野田氏は立派だ」と胸をなで下ろした。