• 中国からの外貨流出額、1月は昨年12月の約10倍-ゴールドマン
  • 外国人投資家の中国国債保有額、先月は4年ぶり低水準

中国からの外貨流出が1月に加速した。トランプ米大統領の関税政策に対する懸念が響き、人民元相場を巡る見通しが悪化した。

  ゴールドマン・サックス・グループのアナリストは広範なデータに基づき、中国からの外貨流出額が1月に820億ドル(約12兆4000億円)に達し、昨年12月の約10倍に膨らんだと分析。

  国家外為管理局(SAFE)のデータによると、中国本土の銀行が顧客に先月売却した外貨は純額392億ドルと、昨年7月以来の高水準を記録した。

Chinese Banks Sold More Foreign Currencies to Clients

  先月20日に就任したトランプ大統領は中国などに対する関税賦課を強化する方針を打ち出している。外貨流出の増加は弱気な人民元見通しを裏付けており、貿易摩擦が一段と激化し、米中間の利回り格差が拡大すると見込むアナリストもいる。

  本土から流出した外貨の一部は香港株に投じられた可能性がある。中国の人工知能(AI)スタートアップDeepSeek(ディープシーク)が低コストのAIモデルを発表したことで中国株が買われたが、本土市場の株式相場は香港上場株ほど大きく値上がりしていない。

  オーストラリア・ニュージーランド銀行(ANZ)の邢兆鵬シニアストラテジストは、「トランプ大統領就任を前にした市場のボラティリティー増大と人民元への下落圧力が1月の資本流出の主因となった」と指摘。一方で、買われたドルの一部は外貨預金として中国本土にとどまり、金融機関にドルの流動性をもたらしたとの見方も示した。

  本土市場の人民元は先月、2023年9月以来の安値を付けたが、その後は持ち直している。

  中国の企業と家計は1月に外貨預金を増やし、元安懸念を示唆。本土の外貨預金は1月に400億ドル近く増加し、21年4月以来最大の伸びとなった。

  外国人投資家の中国国債保有額は先月、4年ぶりの低水準に落ち込んだ。

原題:China’s Foreign-Exchange Outflows Jump in Ominous Sign for Yuan (抜粋)