斎藤元彦兵庫県知事の疑惑告発文書問題に絡み日本維新の会の複数の県議が政治団体「NHKから国民を守る党」党首の立花孝志氏に真偽不明の文書や音声データを漏らすなどした問題に関連して、維新所属の岸口実、増山誠、白井孝明-の3人の兵庫県議が23日午後、神戸市内で会見を行った。会見は記者からの質問がなくなるまで行うとし、5時間半にわたって行われた。3人は情報提供について謝罪の言葉を述べつつも、増山氏が「今でも立花さんがデマを言っていたとは認識していない」と語るなど、繰り返し正当性を主張した。
記者会見には、新聞社やテレビ局といったマスメディアだけでなく、インターネットメディアやフリーのジャーナリストも加わり、50人以上が出席した。会場には、斎藤知事の支持者や動画の配信者らも参加。配信者が質問する報道陣の顔を撮影する場面もあった。
情報の真偽が不明な文書を立花氏に渡したとされる岸口氏は冒頭、「県民の皆さまに迷惑をかけ、この場を借りておわび申し上げる」と陳謝。他の2人も漏洩(ろうえい)や情報提供の意思を認めて謝罪した。
岸口氏は、百条委委員だった竹内英明元県議が「(内部告発問題の)黒幕」などと記した文書を立花氏に渡した経緯について「同席している以上、私が提供したもの」としたうえで、「(立花氏と)会ったことが軽率だった」とする一方、「誰がどういうつもりで作成したのかはわからない」と従来の説明を繰り返した。
会見では、立花氏への情報提供について自らを正当化するような釈明も続いた。
増山氏は、立花氏の情報発信について「多くのデマを流しているという意見には賛同しかねる」と主張。交流サイト(SNS)の誹謗(ひぼう)中傷を理由に県議を辞職した竹内氏が今年1月に死亡したことを念頭に「(立花氏の情報提供との)因果関係に確信を持っていない」などと説明した。一方で、「情報提供したときはここまで問題が大きくなるとは考えていなかった」と述べた。
また、「県民が重要な情報を知らずに選挙に突入する危機感があった」と公益性を強調する姿勢と、カラオケボックスで立花氏に音声データを漏洩するという行為が矛盾していないかと問われた増山氏は「百条委の委員として真実を追求することと、県民に知るべき情報を伝えることの両方の使命が私にはある」と弁明した。
白井氏も「私のほうで情報発信を試みたが、広がらないので立花氏にコンタクトを取った」と発信力の強い立花氏を頼った理由を説明した。
一方で、新聞やテレビなどに代表される「オールドメディア」批判を展開する場面もあった。
白井氏は、斎藤氏の文書問題に関する一連の報道を念頭に「今回の件が正しく報道されていないと思って発信したのが事実」としたうえで、「今まではオールドメディアが全てで正しいとされていた」と主張。増山氏は「斎藤知事だけが非常に悪者のように報道されている現状がフェアではないと思った」などと強調した。
記者会見は午後1時から始まったが、3人の県議が、兵庫維新の会の全体会議に出席するため、午後6時半に中断。維新側からは「記者側からの要請があれば再開する用意がある」としていたが、その後、再開要望がなく、会見は終了となった。
「迷惑かけた」と述べ従来主張を繰り返す リーク疑惑の維新県議ら3人の釈明会見始まる
「間違ったこと報道されている」謝りながら恨み節 維新の3県議、冗舌にメディア批判