中居正広氏とフジテレビの女性アナウンサーとのトラブルをめぐる一連の問題で、フジテレビと親会社が設立した第三者委員会が31日、調査報告書を公表し、今回のトラブルについて「『業務の延長線上』における性暴力であったと認められる」という判断を示しました。
第三者委員会は記者会見を開き、報告書の中身について説明しました。会社側も午後7時から会見して報告書を踏まえた改善策を公表しています。
目次

第三者委員会の調査ではトラブルへのフジテレビの社員の関与の有無が焦点となっていましたが、報告書では、社員の関与について「中居氏が女性を会合に誘った行為に関与した事実は認められなかった」とした一方で、中居氏とのトラブルについて「『業務の延長線上』における性暴力であったと認められる」という判断を示しました。
また「本事案への一連の対応において、特筆すべきことは、フジテレビの幹部が、中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いたことである」と指摘しました。
その上で「中居氏の依頼を受け、中居氏に代わって元編成局幹部が見舞い金名目での現金100万円を女性の入院先病院に届けた。元編成局幹部は女性の重篤な病状を認識していたにもかかわらず、中居氏の代わりに現金を渡そうとした行為は、女性の病状、心情への配慮を欠いている。見舞い金の受領は法的紛争の帰すうにも影響しうるものであり、女性に対する口封じ、2次加害行為とも評価しうる」と指摘しました。

さらに当時、社長だった港浩一氏など会社幹部らのトラブルへの対応について「本事案への会社の一連の対応は、経営判断の体(たい)をなしていない。港社長ら3名は、性暴力への理解を欠き、被害者救済の視点が乏しかった」と指摘しました。
また、長年にわたってグループの実力者として経営に影響力を及ぼしてきた日枝久氏について「長年にわたる功績と経営中枢への関与から会社の経営に強い影響力を及ぼしており、会社の組織風土の醸成に与えた影響も大きいといえる。もっともセクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質は、日枝氏だけでなく、会社の役職員全員の日々の言動から形成されたものである」と指摘しました。
その上で「取締役会メンバーの経営責任は重いというべきだ」と結論づけました。

またフジテレビと親会社のガバナンスについて「内部統制の構築・運用面でも様々な問題を抱えており、それを担う取締役会の機能不全がある」と指摘しています。
そして、フジテレビには社外役員に情報を共有しない企業風土があったと指摘した上で「社外役員の役割をまったく理解せず、ガバナンスの機能不全を招くものであり、会社の内部統制として言語道断であると言わざるを得ない」と厳しく指摘しています。
第三者委員会は再発防止策について「有力な取引先と良好な関係を築くための『性別・年齢・容姿などに着目して呼ばれる会合』というあしき慣習が、取引先の関係者からハラスメントを受けるリスクをもたらしてきた」と指摘し、これらの慣習を一掃し、ハラスメントに対応する体制を構築すべきだとしています。
その上で「フジテレビが直面する問題は、業界全体が直面する問題であり、業界全体の持続可能性の問題である。今こそ業界全体での協働をとり、業界の健全化に向けた取り組みを進めるべきである」と指摘しました。
第三者委員会が会見 性暴力被害受けたと認定

第三者委員会は報告書を公表したあと会見し、委員長を務める竹内朗弁護士は女性が中居氏によって性暴力による被害を受けたと認定したとしたうえで、今回起きたことはフジテレビの業務の延長線上にあったと指摘しました。
第三者委員会は調査報告書を公表したあと午後5時から会見を開きました。
この中で委員長を務める竹内弁護士は、中居氏と女性が守秘義務を負っている状態でヒアリングを行ったとしたうえで、「2023年6月2日に女性が中居氏のマンションの部屋に入ってから退出するまでの間に起きたことについて、女性が中居氏によって性暴力による被害を受けたものと認定した」と述べました。
また、今回起きたことにはフジテレビの社員の関与はなかったものの、業務の延長線上だと判断しているとした上で、女性に対するフジテレビの対応については「被害者に寄り添わない、2次加害と評価されるものだったという評価を加えている」と指摘しました。

竹内弁護士はこのほか今回の調査の中で類似の事案が2件確認されたことを明らかにし「共通するのはフジテレビの男性社員が女性を置き去りにして、有力な出演者と女性だけの空間ができ、そこでハラスメント被害が生じた」と述べました。
さらに会社の役職員によるハラスメント事案が4件あったとしたうえで、竹内弁護士は「セクハラを中心とするハラスメントがまん延している実態があった」と指摘しました。
一方、フジテレビが中居氏の番組出演を続けたことについて、竹内弁護士は「結果として間違った判断だった」と指摘しました。
フジテレビの記者会見などの対応についても「客観的な調査をした上で、ステイクホルダーに説明する意識が希薄で結果として対応を間違えた。ステイクホルダーの信頼を損なった」としたうえで「時代の変化に即応して経営をアップデートしてこなかったことが、この事案を生んだということで、取締役会メンバーの経営責任は重い」と述べました。
一方、退任した日枝氏について、竹内弁護士は「長きにわたって経営の中枢にいたので、現在まで会社の経営に強い影響力を及ぼし、組織風土の醸成に与えた影響も大きい」と指摘したうえで、「説明責任があるかないかと聞かれたら、あるという答えになる」と述べました。
また、別の弁護士は「日枝氏は相談役なので、あくまで相談役として相談に乗っていたという説明をしている。ただし、代表取締役会長と代表取締役社長の人事については、自分が決めたということを否定していない」と述べました。
竹内弁護士は会見の中で、フジテレビの番組、「テラスハウス」に出演していた女性がSNS上でひぼう中傷を受ける中、亡くなったことや、旧ジャニーズ事務所の創業者による性加害問題にも言及し、「フジテレビは過去にテラスハウスの事案と旧ジャニーズ事務所の事案を経験しているが、そこからしっかり学び取ることがなかった」と指摘しました。
そのうえで、「旧ジャニーズ事務所の問題はテレビ局からすると報道や判決で間接的に知ることとなるが、それでも、性加害、性暴力のことを知りながら事務所のタレントの出演を継続していたことが当時問題になった。それに対して今回の事案は被害者はフジテレビの中にいて直接、フジテレビに対して被害申告をしたにもかかわらず、中居氏の番組出演を継続していた。打ち切る必要性はジャニーズ問題に比して、格段に高かった」と述べていました。
第三者委員会は今回の調査にあたり、中居氏と女性アナウンサーが結んだ示談契約における守秘義務を解除して協力してもらうよう両者に依頼したものの、中居氏側は守秘義務の範囲についてはヒアリングに応じないとし、女性の守秘義務を解除しないと回答したと明らかにしました。
一方、女性側は全面的に解除に応じると回答したということです。
委員会がまとめた報告書によりますと、守秘義務の対象は2023年6月2日に女性が中居氏のマンションの部屋に入ってから退室するまでの事実と示談契約の内容だったということで、今回の調査ではそれ以外の部分について両者にヒアリングを行い、守秘義務の範囲はフジテレビの関係者へのヒアリングや資料によって認定したということです。
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第三者委員会 報告書

第三者委「取締役会メンバーの経営責任は重い」
中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる一連の問題で、フジテレビと親会社が設置した第三者委員会は、会社の対応について「取締役会メンバーの経営責任は重いというべきだ」と指摘しました。
「適正な経営判断行うための知識、意識、能力が不足」
会社の対応について「意思決定する経営トップ、役員、幹部は事実確認、リスクの検討、性暴力被害者支援と人権尊重責任の視点でのケアと救済を行うなどの適正な経営判断を行うための知識、意識、能力が不足していた。外部の専門家の助言やコンプライアンス部門などからの助力を得ることで、より適正な意思決定ができるはずであったが、そうした意識を欠いていた」と指摘しました。
「2次加害行為にあたる」
また「女性に寄り添わず、漫然と中居氏の出演を継続させることによって、女性の戻りたい職場を奪い、中居氏の利益のためとみられる行動をとったことは、2次加害行為にあたる。こうした一連の行為によって、女性の被害をさらに拡大させた。このような思慮の浅い意思決定と被害者に寄り添わない対応がステークホルダーからの信頼を失わせ、危機的状況に至らしめたと言える」と指摘しました。
「1回目の会見失敗は明らか」
ことし1月17日に行った最初の記者会見については「結果として、社会から大きな批判を招くとともにスポンサー離れを加速させた。このような事実からみれば、第1回目の記者会見が失敗に終わった事実は明らかである」と指摘しました。
そのうえで失敗の根本的な原因について▽事実究明が終わっていなかったこと、▽社会一般における人権意識との大きなズレがあったこと、▽会見の形式に問題があったこと、▽第三者委員会の設置を早期に決断できなかったことを挙げています。
「中居氏の出演継続 編成トップ3名のみで決定」
第三者委員会は「女性への対応および中居氏の出演継続の是非に関する意思決定は、編成ラインのトップ3である港社長、大多専務および編成制作局長の3名のみで行われた」と指摘しました。
その上で「経営リスクの高い案件についての重要な意思決定が、編成ラインの3名のみ、編成の視点のみ、被害者と同じ女性が関与しない壮年男性のみで行われたことに驚きを禁じ得ない。編成ライン3名で決定したことは当然のことと捉えられており、港社長ら3名には問題意識はない。編成ラインにおけるセクショナリズム、『原局主義』の思考の発現にも見える」と指摘しました。
「幹部3人“責任をとれない”と思考停止」

報告書では、今回発生した事案を把握していた「港社長、大多専務、および編成制作局長は“プライベートな男女間のトラブル”と即断しており、こうした3名の誤った認識・評価が、フジテレビにおける本事案への対応を誤る大きな要因となった」としています。
そのうえで、この幹部3人が「女性の生命を最優先にする、笑顔で番組に復帰するまで何もしない」という大方針を決定し、中居氏の番組出演を継続させたとしています。
そして報告書ではこうした判断について「合理的判断とはいえない。女性の自死への危険を恐れるあまり“責任をとれない”との思考停止に陥り、現状を変更しないことを決定して責任を回避しようとしていたのであり、被害者救済を最優先とした本事案への適正な対応に向けた積極的な行動をとらなかったと評価すべきである」と指摘しました。
「中居氏 実際には誰も誘わず 飲食店も探さず」

第三者委員会は報告書で、中居正広氏と女性がトラブルに至る経緯について「中居氏の女性に対する当初の誘い文句は『今晩、食事はどうか』『メンバーを誘っている』という趣旨のものであり、食事にフジテレビの社員や番組制作に関わるメンバーも参加するように思わせるものだった。次の連絡は『メンバーは来ない』『2人だけだが、どうするか?』という趣旨のものであった。メンバーが来られないとして飲食店での2人の食事を示して同意を得た。その上で、食事の直前に、適当な飲食店がないこと、自身のマンションの方が『安心かも』など述べて、女性が断ることが困難な状況に追い込んでマンションでの食事に同意させたとみることができる」とし「結論として、中居氏は実際には誰も食事に誘っていなかったし、飲食店も探していなかった」と指摘しています。
その上で「中居氏と女性の間には圧倒的な権力格差のある関係性が存在する。このことも踏まえれば、女性は、上記のようなやりとりを経て精神的に逃げ場をふさがれたといえる」と指摘しています。
「女性『ここで断ったら仕事に影響出る』」
第三者委員会の調査に対し、女性は中居氏からのマンションでの2人での食事の提案に対して「少し嫌な気がした」とした上で「直前、誰も集まらない、いい店がない、それならこの前みんなでバーベキューをしたところでごはんはどうですか?と仕事上付き合いのある芸能界の大御所からそういわれたら、今夜暇だと言ってしまった私は行かざるを得ない。幹部社員などはいつも中居氏にペコペコしている姿を見ていたから、逆らえないと思っていた。ここで断ったりしたら仕事に影響が出るのではないか、断ったらそのことが幹部社員に伝わって番組によばれなくなるのではないか、そんな思いがあって、行きたくはないけど行った、という気持ち」と述べたとしています。
「元アナの女性と中居氏からもヒアリング」
第三者委員会の報告書ではトラブルにあった女性について、当時、入社して数年目のフジテレビの元アナウンサーだとした上で、女性と中居氏の2人からも守秘義務の対象となる部分以外について、ヒアリングを実施したということです。
そのうえで「女性の人権およびプライバシーを尊重し、女性から同意が得られた範囲で事実を記載した」としています。
トラブルは「業務の延長線上における性暴力」
フジテレビの社員については「中居氏が女性を会合に誘った行為に関与した事実は認められなかった」とした一方で、中居氏と女性とのトラブルについて、「『業務の延長線上』における性暴力であったと認められる」という判断を示しました。
中居氏と女性のやりとり詳細も
第三者委員会の報告書では、中居氏と女性アナウンサーにトラブルが起こるまでのメールのやりとりなど具体的な過程の詳細も明らかにされています。
それによると、おととしの5月31日、中居氏は当初、タレントたちとゴルフをする予定でしたが、悪天候で中止になったため、代わりに都内にある中居氏が所有するマンションで、バーベキューが行われることになりました。
中居氏はフジテレビの元編成幹部を誘ったうえで、携帯電話のショートメールで「男同士じゃつまらんね。女性いるかなね。一般はさすがにね。アナ誰か来れるかなぁ」と手配を依頼しました。
求めに対して元編成幹部は「アナウンサー調整してみます」などとして、被害にあった女性アナウンサーなどを誘い、女性も応じたということです。
この女性は中居氏のマンションに向かうタクシーの中で、元編成幹部から「仕事でプラスになる」という趣旨のことを言われたとしています。
バーベキューは、女性を含むフジテレビの女性アナウンサーやタレントなどが参加。
午後8時ごろに終了しましたが、その際に中居氏からの誘いがあり、女性と元編成幹部の3人ですしを食べに行きました。
この中で、女性は元編成幹部が「(二人は)つきあっちゃえばいい」と言ったとしていますが、これについて元編成幹部は「発言した記憶はないが発言した可能性はある」などと話しているとしています。
この日に中居氏と女性は連絡先を交換し、2日後の6月2日、中居氏は女性にショートメールを送信。
「今晩、食事はどうか」「メンバーを誘っている」などとして、フジテレビの社員や番組制作に関わるメンバーも参加するように思わせるものでした。
次の連絡は夕方で「雨のせいか、メンバーが歯切れわるくいないです」と送信、さらに午後7時すぎには「メンバー見つからずです~。どうしよかね。2人だけじゃ気になるよね。せっかくだから飲みたいけど」とメッセージを送り、メンバーが来られないとして、飲食店での2人の食事を示して同意を得たとしています。
その後「お店のレパートリーが情けないですが乏しく…。どうしよかね」などと連絡し食事の直前に、適当な飲食店がないことから自身のマンションの方が「安心かも」などと提案します。
このことから報告書では「女性が断ることが困難な状況に追い込んでマンションでの食事に同意させたとみることができる」としています。
女性はこうした経緯について「元編成幹部などはいつも中居氏にペコペコしている姿を見ていたから、逆らえないと思っていた。ここで断ったりしたら仕事に影響が出るのではないか断ったらそのことが元編成幹部に伝わって番組によばれなくなるのではないか、そんな思いがあって、行きたくはないけど行った、という気持ち」と述べたということです。
中居氏「ひと段落ついた感じかな。色々たすかったよ」
第三者委員会の報告書では中居氏と女性アナウンサーとの間にトラブルが起きたあと、元編成幹部が中居氏に対し、女性やフジテレビの状況を伝えていたとしています。
女性の退職後の2024年9月9日には、元編成幹部は中居氏に女性が退職したことをショートメッセージで伝えていて、中居氏は「了解、ありがとう。ひと段落ついた感じかな。色々たすかったよ」と返信していたということです。
元編成幹部はさらに、「例の問題に関しては、ひと段落かなと思います。引き続き、何かお役に立てることがあれば、動きます!」と返信していたということです。
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「業務の延長線上」判断した理由は
第三者委員会の報告書で、トラブルについて「業務の延長線上で発生したと考える」とした理由について「中居氏と女性は、番組共演で接点を持ち、番組共演者として業務上の関係性があったが、両者は交際しておらず、プライベートにおける関係はなかった。中居氏は著名な大物タレントであり、フジテレビにとって有力な取引先で、両者の間には圧倒的な権力格差が存在していた。このような権力格差のある関係性を前提とすれば、女性は、中居氏から誘われればそれがたとえ2人きりの食事だったとしても、業務上の良好な人間関係を構築・維持し、円滑に業務を遂行することを主たる目的として考えることが当然である。したがって本事案の時点においても、中居氏と女性との業務上の人間関係が継続していたといえる」としています。
トラブルへのフジテレビの社員の関与については「中居氏が女性を事案の会合に誘った行為にフジテレビの幹部社員や社員が関与した事実は認められなかった。しかし、2日前に同じ場所で開催されたバーベキューの会についてはその経緯からすれば女性もフジテレビの幹部社員らも業務として参加したと評価できる。女性も当日の誘いをバーベキューと同種の会合と認識していたことに影響を与えている」と指摘しています。
こうした理由から今回のトラブルについて、報告書は「『業務の延長線上』における性暴力であったと認められる」としています。
「取引先との会合に利用 不適切」
「フジテレビの一部には社員やアナウンサーらが取引先との会合において性別や年齢、容姿などに着目され、良好な関係を築くために利用されていた実態があったというべきで不適切だ」とする判断を示しました。
「全社的にハラスメントがまん延」
「会社においては、全社的にハラスメント被害がまん延していたと評価でき、その原因としては、会社において培われた誤った認識・対応が、被害者によるハラスメント被害申告をためらわせ、ハラスメントの適切な対処がなされず、結果として、さらにハラスメント被害が生じるという、負の連鎖が繰り返されてきたからと考えられる」と指摘しました。
「幹部 中居氏の利益のため動いた」
「本事案への一連の対応において、特筆すべきことは、フジテレビの幹部が、中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いたことである」と指摘しました。
「幹部が中居氏に弁護士を紹介」
報告書では「会社の編成局幹部らは、中居氏の依頼を受け、会社のバラエティ部門と20年間にわたって継続的にリーガルアドバイザーであった弁護士を中居氏に紹介した。会社の編成制作局として中居氏サイドに立つことを表した行為であり被害女性に対する二次加害行為とも評価し得る」と指摘しました。
そのうえで「会社は社員である被害女性のケア、救済、復帰のための環境整備を行うべきことが求められており、幹部らの行為は会社に対する背信的行為とも評し得る」と指摘しました。
「問題の本質理解せず、わい小化した情報発信」
週刊誌で報道されたあと、去年12月に会社が出したコメントについては「切り取った事実関係のみを強調して伝達しようとした判断は、問題の本質を理解していない対応であったと言わざるを得ない。わい小化した情報発信が社会からの厳しい批判の対象となり得ることに気がつけたはずである。それにもかかわらず、切り取った事実関係だけを否定して、企業防衛を図るという視野狭さく的な対応をしてしまった過程には、本件に関する港社長、嘉納会長らの問題意識が薄かったこと、事案の全容解明が進んでいなかったこと専門家の助言を得られていなかったことなどが影響していると考えられる」と指摘しました。
「女性への見舞い金は口封じ、2次加害」

第三者委員会は報告書で「本事案への一連の対応において、特筆すべきことは、フジテレビの幹部が、中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いたことである」と指摘しました。
その上で「中居氏の依頼を受け、中居氏に代わって元編成局幹部が見舞い金名目での現金100万円を女性の入院先病院に届けた。元編成局幹部は女性の重篤な病状を認識していたにもかかわらず、中居氏の代わりに現金を渡そうとした行為は、女性の病状、心情への配慮を欠いている。見舞い金の受領は法的紛争の帰すうにも影響しうるものであり、女性に対する口封じ、2次加害行為とも評価しうる」と指摘しました。
「日枝氏 組織風土の醸成に影響」
日枝氏については「長年にわたる功績と経営中枢への関与から会社の経営に強い影響力を及ぼしており、会社の組織風土の醸成に与えた影響も大きいといえる。もっともセクハラを中心とするハラスメントに寛容な企業体質は、日枝氏だけでなく、当社の役職員全員の日々の言動から形成されたものである」と指摘しました。
類似した重要な事案 2件
第三者委員会は、調査報告書の中で今回のトラブルに類似した重要な事案が2件あったと指摘しています。
このうち1件は2021年12月にホテルのスイートルームで開催された中居氏と、有力な番組出演者であるタレントとの飲み会に、フジテレビの元編成局幹部や、複数の女性アナウンサーが参加したものです。
アナウンサーはフジテレビ社員の誘いを受けて飲み会に参加しましたが、途中で中居氏が、元幹部や同席していたほかの社員に対し退出するよう働きかけた結果、2人のアナウンサーが中居氏とタレントともに部屋に残されたということです。
その後、女性アナウンサーの1人は中居氏から体を触られたなどと話していて、第三者委員会は「セクシュアルハラスメントと認められる」としています。
また、第三者委員会は元幹部の行動について、中居氏がタレントと「男性2対女性2」となる状況を望んでいると認識した上でスタッフとともに退出したとし、残った女性アナウンサー2人を「置き去り」にしたと評価しています。
もう1件は10年以上前にフジテレビの女性社員が同じ元編成局幹部から有力な番組出演者との飲み会に誘われたものです。飲み会の最中に女性社員がトイレから戻ると元幹部やほかの参加者がいなくなっていて、番組出演者だけが残っていたということです。
女性社員はその後、番組出演者と別の店に移動しましたが、その店で番組出演者が突如、ズボンと下着を脱いで下半身を露出したということです。
調査に対し元幹部は「全く記憶にない」と述べる一方、「あってもおかしくない」などと述べているということで、第三者委員会は女性の話は相当具体的で、こうした事実があった可能性が高いとしています。
第三者委員会はこの元編成局幹部について「自身が呼んだ女性社員を深夜、飲酒の席の後初対面の番組出演者と2名となる状況で『置き去り』にしている」とした上でこの元幹部の行為は女性社員を危険にさらし、その後実際にセクハラを受けているとして「女性社員を危険から守るよりも有力な番組出演者への配慮を優先させる思考パターンを表している」と指摘しています。
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役職員アンケート調査「日枝氏が人事を掌握」82%
第三者委員会は、フジテレビと親会社の役職員あわせて1200人あまりを対象に行ったアンケート調査の結果も公表しました。
【ハラスメント被害】
▽出演者や制作会社など、取引先との会合に参加するようほかの役職員の指示を受けて参加を強要されたことがあるか尋ねたところ、全役職員の10%が「ある」と回答しました。
このうち、アナウンス室の女性では「ある」という回答が24%に上りました。
また▽取引先との会合に参加した際、参加者からハラスメント被害に遭ったことがあるか尋ねたところ、「ある」という回答は7%でした。
アナウンス室の女性では「ある」という回答が29%に上りました。
▽社内で役職員からハラスメント被害に遭ったことがあるかについては、全体の38%が「ある」と回答しました。
【経営・人事について】
一方、▽不透明あるいは不合理な人事権の行使がなされていると感じるか尋ねたところ、全体の73%が「感じる」と回答しました。
さらに▽長年、グループの経営を担ってきた日枝氏が、人事権を掌握していると感じるかについては「感じる」という回答が82%に上りました。
「感じる」と回答した人にその影響を尋ねたところ「役員が日枝氏の方ばかり見て行動している」と答えた人が769人、「実力や素養に関係なく日枝氏に気に入られた人物が出世する」と答えた人が717人に上りました。
また▽執行役員や取締役は十分な経営スキルを備えていると感じるかについては「感じない」と回答した人が92%、▽社外取締役・社外監査役が社内取締役に対して適切な監督をしていると感じるかについては「感じない」と回答した人が91%に上りました。フジテレビ第三者委 反町氏など幹部のハラスメント事案も認定
フジテレビ社員 「感覚がまひ」「視聴者の信頼は失墜」
フジテレビの現役の男性社員は「テレビ業界の制作・取材現場ではハラスメントに耐えないと、競争に勝てないし生き残れないと思っていたが、第三者委員会が『業務の延長線上』における性暴力であったと認定したことは、そんなことまで起きていたのかと驚いた。フジテレビはハラスメントについての感覚がまひしているのでこういった組織風土をなくしてクリーンな会社に生まれ変わりたい」と述べました。
また、別の男性社員は、「女性が相談してから1か月以上、社内の上層部に共有されていなかったのはありえないことだ。コンプライアンス室に全く相談せず対処しようとしたことは明らかな隠ぺい行為だ。中居氏が大ごとにならないよう中居氏に代わって元編成局幹部が女性に対応していたことに驚きを通り越してあきれてしまった。視聴者の信頼は失墜したと思う。会社が改善できるのか、何年かかるのかもわからない。正直、ここまで組織ぐるみだと改善は難しいのではと思ってしまう」と話していました。
識者 「フジテレビにとって予想超える厳しい内容」

メディア論が専門の同志社女子大学の影山貴彦教授は、「しっかりとした具体的な報告書で、フジテレビにとっては予想を超える厳しい内容になったのではないか」と述べました。まず、中居氏と女性とのトラブルへの社員の関与について「関与した事実は認められなかった」とした一方、「『業務の延長線上』における性暴力であったと認められる」という判断を示したことについて、影山教授は「被害者がフジテレビの元アナウンサーであり、業務の延長線上で性加害があったということを初めて明記したことは非常に重く受け止めるべき事実だ」と指摘しました。
そして報告書で「一連の対応において特筆すべきことは、フジテレビの幹部が、中居氏サイドに立ち、中居氏の利益のために動いたことである」などと指摘されたことを踏まえ、「言いかえればフジテレビが被害に遭った女性の人権よりも組織を優先したということで、非常に問題だ。フジテレビは大きな責任をこれから背負うことになる。経営陣を一掃してスタートラインに立って再生してほしいと考えていたが、今回の調査結果はスタートラインよりもマイナスで、フジテレビは今までで一番、厳しい状況に追い込まれているのではないか」と話していました。
さらに再発防止に向けた提言の中で、「性的暴力・ハラスメントという人権課題はフジテレビに固有のものではなく、メディア・エンターテインメント業界における構造的な課題だ」と指摘されたことに注目し、「フジテレビだけではなくテレビ業界全体に対してのメッセージであり、各テレビ局が真摯に受け止めて、再びしっかりと調査し、業界全体でうみを出し切ってほしい」と呼びかけました。
識者「会社ぐるみの人権侵害リスク 極めて異例」

ビジネスと人権の問題に詳しい小川隆太郎弁護士は、「取引先による人権侵害だったと認定していて、ビジネスと人権の観点からは、たとえ取引先であっても人権侵害についてはしっかり取り組まなければならない。報告書は、フジテレビの対応が不十分だったとはっきり言っている」と述べました。
その上で、「国際的に見てもここまで会社ぐるみの人権侵害リスクが明らかになったというのは極めて異例だといえる。『人権侵害を助長していた可能性がある』と踏み込んで指摘されたことは、非常に重く受け止めなければならないだろう」と指摘しています。
小川弁護士は、フジテレビグループが人権方針を設けていたことについて、「人権が建て前になってしまっていたが、今は建て前ではなく、守らなければ本当に重大な問題に発展する。人権方針自体はフジテレビをはじめさまざまな会社が作っているが、しっかりと実行することや、具体的な人権デュー・ディリジェンスを定期的に行うことが求められている」と指摘しています。
また、「海外では人権デュー・ディリジェンスを義務づける法律ができた国もある。日本も一企業で自主的に取り組むことが難しいことが明らかになったと言え、法制化に向けた議論を始める必要があるのではないか」と話していました。
人権尊重の世界的潮流
一連の問題では、フジテレビが企業として女性の人権をどう守ったのかという視点でも注目されました。
2011年に国連人権理事会で採択された企業活動と人権についての国際文書で、企業が自社だけでなく取引先などでも人権侵害が行われていないかチェックし、問題があれば改善に向けて働きかける「人権デュー・ディリジェンス」が明記されました。
日本でも2022年に国がガイドラインを策定し、企業に対して自社や取引先の活動に人権侵害がないかをチェックし、そのおそれがあれば、関係先の企業に質問票を送ったり対話の場を設けたりして、防止や軽減する仕組みをつくるよう求めています。
今回の問題では、フジテレビの親会社の株式を保有する投資ファンドが、会社側の対応に問題があるとして、第三者委員会の設置を求めました。
こうした投資家の動きの背景には、「環境(E)」、「社会(S)」に配慮し、適切な「企業統治(G)」を行っているかを重視する「ESG」と呼ばれる判断基準が世界的な潮流となっていることが挙げられます。
第三者委員会 報告書の焦点は
▽中居氏と女性とのトラブルの経緯についてどう説明するか。
▽トラブルへの会社の関与の有無。
▽類似の事案はあったのか。
▽芸能人と社員とのこれまでの関係に問題がなかったか。
▽トラブルを把握したあとも、中居氏をおよそ1年半にわたって番組に起用し続けたのはなぜか。
▽トラブル把握後の社内での情報共有、対外的な公表の方法など会社の対応は適切だったか。
▽会社のガバナンスや企業風土に問題はなかったか。
▽日枝久氏がグループの実力者として長年にわたって経営に影響力を及ぼしてきた問題をどう評価し、言及するか。
▽一連の問題に対する経営責任の所在についてどう指摘するか。
▽再発防止や経営再生、役員人事など新体制に向けた提言について。
トラブルへの会社の対応は
また、中居氏と女性とのトラブルをめぐり、フジテレビや親会社フジ・メディア・ホールディングスの対応について第三者委員会からどのような指摘があるかも焦点です。
フジテレビでは、おととし6月に起きた中居氏と女性のトラブルを発生直後に把握していましたが、その情報は当時の社長や一部の社員に限られ、コンプライアンスの担当部門などに共有されませんでした。
会社はその理由として「当事者2人の極めてセンシティブな領域の問題と認識した。女性からは事案を公にせず、他者に知られずに仕事に復帰したいという強い意向があった」と説明しています。

さらにトラブルの把握からおよそ1年半にわたって中居氏が出演する番組を継続した対応に問題があったのではないかと指摘されています。
起用を続けた理由について会社は「唐突に番組が終了することで臆測を呼ぶことを憂慮した」などと説明していました。
さらに、中居氏への調査もことし1月まで正式には行われませんでした。
会社は「多くの人が知ることになれば女性のケアに悪影響があるのではないかと考えた。当事者間で示談の動きが進んでいくとの情報が加わったことも調査をちゅうちょする一因になった」と説明してきました。
こうした一連の対応について第三者委員会からどのような指摘があるかも焦点です。
ガバナンスと経営責任は
今回の問題をめぐってはフジテレビのコンプライアンスやガバナンスの体制が機能しなかったという指摘もあり、第三者委員会が、経営陣の責任の所在についてどのように言及するかも焦点となります。
フジテレビは、おととし6月に起きた中居正広氏と女性とのトラブルを発生直後に把握していましたが、社内のコンプライアンス部門には共有されませんでした。
当時、副会長で、フジテレビのコンプライアンス対応を統括する立場だった遠藤龍之介氏はこのトラブルについて「去年12月の週刊誌の取材で知った」と述べています。
また、親会社のフジ・メディア・ホールディングスの金光修社長も事態を把握した時期が去年12月だと説明しています。
一方、フジテレビの親会社のガバナンスについても厳しい指摘が出ています。

親会社の大株主「ダルトン・インベストメンツ」は、長期にわたりグループの実力者として経営に影響力を及ぼした日枝久氏を中心とした会社のガバナンス体制に問題があると指摘していました。
幹部人事の選考過程をめぐって、社外取締役から「多少、不透明なところがあったのではないかという指摘もある」という声があがるなど、人事のプロセスを透明化するよう求める意見も出ています。
こうしたコンプライアンスやガバナンスの課題を踏まえ第三者委員会が、経営陣の責任の所在についてどのように言及するかも焦点となります。
フジテレビの第三者委員会とは
フジテレビとフジ・メディア・ホールディングスは、中居正広氏と女性とのトラブルをめぐる一連の問題の事実関係や会社の対応を検証するため、ことし1月、独立した第三者委員会を設置しました。
フジテレビは当初、弁護士を中心とした調査委員会を立ち上げる方針を示しましたが、会社は「日弁連のガイドラインに基づく第三者委員会ではないと思う」と説明していました。
このため、調査委員会の独立性が担保されているか不透明だという批判が強まり、日弁連=日本弁護士連合会のガイドラインに基づく独立した第三者委員会を設置することになりました。
委員会は、3人の弁護士で構成され、このうち委員長の竹内朗弁護士は、これまで公表された第三者委員会報告書の格付けを行う「第三者委員会報告書格付け委員会」にも参加し、調査の質の向上にも取り組んでいます。
委員会は、フジテレビやフジ・メディア・ホールディングスの幹部など関係者を対象にヒアリングを重ねてきました。
また、2月10日には、社外からの情報提供を求める専用のホットラインをインターネット上に設け、2016年4月以降にフジテレビの役職員が主催する会合に参加した際のハラスメント被害について心当たりがある人に対し情報提供を呼びかけました。
委員会は、今回の問題を把握してからの会社の対応のほかガバナンスや人権問題への取り組みなどを重点的に調査し、一連の問題についての原因分析や再発防止に向けた提言などを行うとしています。
フジテレビ 問題の経緯は

中居正広氏と女性とのトラブルが発生したのは、おととし6月。
去年12月に一部の週刊誌で報じられたことを受けて、フジテレビはことし1月17日に当時の社長が記者会見しました。
この中で、発生直後に事態を把握し、その後社長にも報告があがっていながら、およそ1年半にわたって中居氏が出演する番組の放送を継続していたことを明らかにしました。
しかしこの記者会見は映像の撮影を認めないなど制限を加えたことから閉鎖的だと批判され、さらにトラブルの対応をめぐる社長ら経営陣の説明があいまいでガバナンスや人権の観点からの懸念が払拭(ふっしょく)できないなどという指摘が相次ぎました。
このため企業の間では自社のコマーシャルの放送を公益社団法人の広告に差し替える動きが広がりました。
これを受けて、フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、独立した第三者委員会の設置を決めたほか、当時、フジテレビの社長だった港浩一氏と会長だった嘉納修治氏が1月27日に責任をとって辞任しました。
さらに3月27日に、経営体制を見直して取締役の数を大幅に減らす方針を発表し、長年にわたってグループの経営を率いた日枝久氏が両社の取締役相談役を退任することも明らかにしました。【詳細】フジ会見 異例の10時間超に 社長・会長が辞任し陳謝2025年1月28日 2時31分更新
フジテレビ これまでの対応・今後の対応は
フジテレビは、信頼回復を急ぐために2月6日、社長を本部長とする「再生・改革プロジェクト本部」を設置しました。
中堅や若手の社員を中心に構成し、再発防止や企業風土の見直しに向けて議論を続けています。
こうした議論をもとに2月27日には、社員が会食や会合に参加するにあたって順守すべきガイドラインを公表しました。
業務やプライベートにかかわらず、人権の尊重を最優先とし、人権侵害が起きた場合は厳正に対処するとしています。
また、業務で会食や会合を行う場合は上司に対して目的や参加者などについて承認を得るよう求めました。
社内にはコンプライアンスを担当する部門がありましたが、中居正広氏と女性のトラブルをめぐる情報の共有が遅れたことが問題視されたことから、これまで局単位で設けていたコンプライアンスの担当者をすべての部に配置し、情報を迅速に把握できる体制を整備したとしています。
会社は、第三者委員会の調査報告書を踏まえて、改善策をまとめ、公表することにしています。
CM見合わせで経営に打撃
フジテレビのスポンサー企業の間では、一連の問題をめぐる会社の対応を問題視して自社のコマーシャルを見合わせる動きが続いています。
フジテレビは、ことし1月17日に初めて記者会見を開きましたが、映像の撮影を認めないなど制限を加え、閉鎖的な会見だったことに批判が強まりました。
さらにガバナンスや人権の観点からの懸念が払拭(ふっしょく)できないなどと受け止められたことから、企業の間で自社のコマーシャルを見合わせる動きが広がりました。
これを受けてフジテレビは、企業が自社のコマーシャルを公益社団法人の広告に差し替えたものとキャンセル分については料金を請求しないことにしました。
これに伴って広告収入が大幅に減少することから、ことし1月30日、親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、ことし3月期決算の業績の見通しを下方修正し、グループ全体の売り上げは前の期の実績より3.2%減って5482億円、最終的な利益は73.6%減って98億円となる見通しだとしています。
2月も多くの企業がコマーシャルを見合わせ、フジテレビの「放送収入」は前の年の同じ月よりおよそ9割減ったということで、ことし3月期のフジテレビ単体の通期決算が最終赤字となる可能性もあるという見方も出ています。
このため、会社は信頼回復を急ぐため、3月27日、経営体制の大幅な見直しを公表しました。
しかし、4月以降、7割弱のスポンサー企業が自社のコマーシャルを放送するかどうか、判断を保留しているということで、依然、業績回復の見通しは立っていません。
フジテレビの清水賢治社長は今月28日、記者団に対し「第三者委員会の報告とその後の会社の改善策を企業の皆さんは見ているので、信頼を取り戻すため、着実にやっていく」と述べていました。【動画解説】フジテレビ 経営体制刷新を発表 なぜ?ねらいは?2025年3月27日 19時46分更新
経営体制は大幅に見直し
フジテレビと親会社のフジ・メディア・ホールディングスは、信頼の回復を急ぐため、第三者委員会の報告に先立って3月27日、それぞれの取締役会で経営体制を大幅に見直すことを決めました。
このうち
▽フジ・メディア・ホールディングスはことし6月に現在の取締役15人のうち10人が退任し、新たに6人を選任します。
また
▽フジテレビは20人の取締役のうち、今月27日付けで12人が退任、さらに6月に4人が退任し、新たに6人を選任します。
この結果、6月以降の経営体制では
▽フジ・メディア・ホールディングスは現在の15人から11人に、
▽フジテレビは現在の20人から10人に半減します。
また、年齢面での多様性も考慮するとして、50代以下の人材を新たに起用し、6月以降の経営体制では、取締役の平均年齢を大幅に引き下げるとしています。
▽フジテレビの取締役の平均年齢は去年6月時点の67.3歳から59.5歳に
▽フジ・メディア・ホールディングスでは71.2歳から10歳近く若返って61.6歳になるとしています。
さらに40年以上にわたって取締役を務め、経営に影響力を及ぼしてきた日枝久氏がフジテレビの取締役相談役を今月(3月)27日付けで退任しました。
フジ・メディア・ホールディングスの取締役相談役もことし6月の株主総会をもって退任するとしています。
また、フジ・メディア・ホールディングスの金光修社長は今月27日、記者団に対し、日枝氏がフジテレビのほか、フジサンケイグループの代表を辞任することも明らかにしています。フジテレビ 日枝久氏 取締役相談役を退任 グループ代表も辞任2025年3月27日 22時21分更新