注目の相互関税が日本時間の今朝、トランプ大統領によって発表された。米国に物品を輸出するすべての国に一律に10%の関税が賦課されるうえに、各国の事情によって個別に税率が上乗せされる。合計で日本は24%、中国は34%、韓国は25%、E Uは20%、英国は10%などとなっている。EUに比べてアジアの方が総じて高くなっている。これは何を意味するのか、これからさまざまな議論が交わされるだろう。とりあえずこの税率が高いのか、低いのか。素人には分からない。そこで専門家の意見を見てみた。ロイターが今朝配信した「識者はこうみる」からの引用。SBI新生銀行シニアエコノミスト・森翔太郎氏。「第一印象としては、想定よりも厳しい税率であり、日本経済や生産活動への負の影響は避けられない」とみる。みずほ証券 シニアテクニカルアナリスト・三浦豊氏、「主要国の中で厳しい税率を課せられるのは日本とカナダ。EUの20%よりも日本の税率が高かったことが重要なポイントになる」。
三菱UFJアセットマネジメント・チーフファンドマネジャー・石金淳氏、「日本の対米輸出に関して、米政権には事実認識のギャップもうかがえる。発動までの交渉次第では条件が緩和される余地もあるのではないか。あまり弱気になる必要はないとみている」。銀行、証券など市場関係者の大半は日本経済の先行きを暗澹たる思いで見つめている。そんな中で石金氏は消極的ながら多少の期待感を滲ませている。野村総合研究所のエグゼクティブ・エコノミスト・木内登英氏、「日本のGDPを0.59ポイント押し下げると想定される。自動車関税が上乗せされるのであれば、最悪0.76ポイント程度の押し下げになる」と数字を示しながら景気後退は避けられないと予測する。そんな中で一風変わった強気な見方もある。リフレクション・アセット・マネジメントの最高投資責任者、ジェイソン・ブリットン氏だ。「発表内容は正味プラスだと見ている」と驚くべきコメント。
「今回の関税水準は今後の交渉の出発点に過ぎない。メキシコとカナダは追加関税の対象から外れている。市場は落ち着きを取り戻し、詳細を分析し始め、多様なニュースが混在する最も悪いときだったことに気づくだろう」。発表された時点が最悪でこれから少しずつ良くなるというわけだ。「今回の影響で株価が下落すれば、買いたい。市場は過剰に反応しているだけだ」。天邪鬼の私としては横並びの弱気派より、ブリットン氏のようなコメントに大きな期待感を感じてします。当たるも八卦当たらぬも八卦、要は総弱気の中で何か明るい兆しを読み取りたいのだ。ロターによると貿易量を加味した影響力を見ると日本は1.9%、英国の3.3%よりも低い。それでも日本人の大勢は総弱気に傾いている。なんの根拠もないのだがみんなが同じ方向に関心を向けた時には、大勢に従わない方が正解の確率が高くなるような気がする。市場関係者がよく使う“逆張り”というヤツだ。