昨日、A Iのスタートアップ・アンソロピックの人気爆発と書いたが、今日はその続き。米国の株式市場ではA I人気に対抗するように、「A I脅威論」が急激に支持を広げている。強気と弱気が同居する市場のムード、いつものことながら、これが米国の強みかも知れない。
昨日の米株式市場では物流関連株が軒並み下落した。「A I脅威論」に投資家が反応した。原因はAI企業・アルゴリズム・ホールディングスの発表。ユーザーの大半は物流業界。同社は12日午前、自社の「SemiCab」というプラットフォームの宣伝を兼ねて、導入事例をいくつか紹介した。その中に「顧客企業が運営人員を増やすことなく貨物取扱量を300-400%拡大させた」との成功事例があった。
これを受けて同社の株価が急騰、反対に物流関連株が軒並み値を下げた。アンソロピック人気は「安全なA I」をモットーとする同社の経営思想が、投資家に安心感を与えた。半面、同社の成功は米国の産業構造を劇的に破壊するのではないか、との懸念を市場にバラ撒いた。アルゴリズムの発表はその具体的事例と受け止められたようだ。
BloombergによるとA I脅威論が勢いを増す中で、運輸関連株は「AI耐性銘柄の一角とみなされてきた」。その一角が崩れたということだろう。A I人気とA I脅威論が同居する中でどちらに軍配が上がるのか、今後の推移を見ないとわからない。ただし市場ではA I関連銘柄から割安銘柄へのポートフォリオへの入れ替えが起こっている。なんとなくとしか言ええないが、A I脅威論に勢いがあるように見える。
どちらにしても米国では長期的な視点と短期的な視点がいつも同居しているように見える。NVIDIAやマイクロソフトといった巨大テック企業は短期より長期の視点を優先する。将来のA I需要を見越して巨大な資金調達を進めている。アンソロピックの資金調達は目標の100億ドルが3倍の300億ドルに達した。これは将来需要を見越した資金調達だ。
これに対してA I脅威論は、「巨大な資金調達はいつ利益に結びつくのか」と問う。仮に遠くない将来に巨大な利益を生み出したとしても、その時は産業構造が破壊され失業者が街に溢れるのではないかと心配する。その実例をアルゴリズムの事例発表に見ているのだろう。増員なしで巨大な利益を生み出す。逆言えば失業が増えると考える。
結果が見えるのはどんなに早くても3年から5年先だろう。そんな中で早くも短期と長期の視点がぶつかり合っている。どちらに軍配が上がるかの問題ではない。長期的にしか結果がわからない難問に、短期的に結論を出さざるを得ない現実だ。マーケットだけではない。政治も経済も企業経営も、個人の将来もすべからく同じ問題を抱えている。だから将来予測に価値がある。と同時に予測を大幅に外すのは致命傷になる。
