- 年内3回目の利下げ確率が約50%に上昇、CPI発表受け「市場は安堵」
- 円は対ドルでもみ合い、週間では約2.9%値上がり-金は反発

Rita Nazareth
13日の米金融市場では、米国債が上昇し、2年債利回りは2022年以来の水準に向けて低下した。1月の米消費者物価指数(CPI)が比較的落ち着いた内容となったことで、今年3回の利下げが実施されるとの見方が強まった。S&P500種株価指数はほぼ変わらず。テック大手が売られ、上値を抑えた。ドルは大半の主要通貨に対して軟調に推移。対円では152円台後半でほぼ変わらずとなった。
| 国債 | 直近値 | 前営業日比(bp) | 変化率 |
|---|---|---|---|
| 米30年債利回り | 4.70% | -3.8 | -0.79% |
| 米10年債利回り | 4.05% | -5.0 | -1.22% |
| 米2年債利回り | 3.41% | -5.0 | -1.46% |
| 米東部時間 | 16時37分 |
朝方発表されたCPI統計では、総合指数が前月比0.2%上昇した。伸びは昨年7月以来の低さとなり、市場予想を下回った。コア指数も前年同月比2.5%上昇と、2021年以来の低い伸び。市場では大幅に加速するとの見方も出ていたが、それを打ち消す格好となった。
関連記事:米CPIは予想下回る伸び、大幅上昇の懸念覆す-追加利下げ観測強まる
金融政策に敏感な2年債利回りは一時6ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)低下の3.40%と10月以来の低水準を付けた。
短期金融市場は、年内の合計利下げ幅を約63bpと織り込んだ。これは12月までに0.25ポイントの利下げが2回と、3回目が実施される確率を約50%とみていることを示す。12日時点では58bpだった。
CIBCプライベート・ウェルス・グループの債券部門責任者、ティム・ムシアル氏は「金融政策により大きな影響を与えているのは労働市場だが、FRB当局者はインフレが引き続き鈍化することを強く望んでいる。その点において、今回の統計は前向きだ」と述べた。
市場は引き続き7月の利下げを完全に織り込んでいるほか、6月についても高い確率を見込んでいる。FRBは2025年12月まで3会合連続で利下げを実施した後、1月の会合では政策金利を据え置いた。3月の利下げを予想していたウォール街の銀行は、11日に発表された1月の強い雇用統計を踏まえ、年内のより遅い時期に利下げ予想を後ずれさせた。
ノムラ・セキュリティーズ・インターナショナルの米金利デスク戦略責任者ジョナサン・コーン氏は、労働市場の改善が続けば追加利下げの必要性が薄れるとの見方が、インフレ統計に対する市場の前向きな反応を抑制したと述べる。
「FRBがより重視していると思われるのが、引き続き雇用の責務であることを改めて示した」と同氏は指摘。「今週見られた相場の織り込み修正の動きは、その相当部分が経済指標ではなく、リスクセンチメントの後退を受けたもの」との見方を示した。

株式
| 株式 | 終値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| S&P500種株価指数 | 6836.17 | 3.41 | 0.05% |
| ダウ工業株30種平均 | 49500.93 | 48.95 | 0.10% |
| ナスダック総合指数 | 22546.67 | -50.48 | -0.22% |
S&P500種構成銘柄のうち約370銘柄が値上がりしたが、同指数はほぼ変わらずで終了。週間では11月以来の大幅な下げとなった。大型テック株に関する指数は1.1%下落。一方、小型株中心のラッセル2000指数は1.2%上昇した。
S&P500種の構成銘柄を時価総額加重ではなく等分にしたS&P500種イコール・ウエート指数は1%上昇。16日はプレジデンツデーの祝日のため休場となる。
BOKファイナンシャルのスティーブ・ワイエット氏は「依然としていくつかの懸念材料は残るが、全体としてインフレは鈍化傾向にある。FRBは当面、様子見の姿勢だが、当社では年内にかけて幾分の利下げを見込んでいる」と述べた。
物価上昇圧力が抑制されているため、市場は「安堵(あんど)している」と話すのはプリンシパル・アセット・マネジメントのシーマ・シャー氏だ。
その上で「労働市場の力強さが続いていることで、政策当局は据え置きを維持する余地を得ている。一方で、下期にインフレ鈍化がさらに進めば、緩和再開への道が開かれるだろう」と述べた。
ロンバー・オディエ・インベストメント・マネジャーズのフロリアン・イエルポ氏は、今回のCPI統計では、財価格のインフレ大幅鈍化、および住宅関連インフレの粘着性の弱まりという2つの重要な明るい材料があったと指摘する。そのため、データ次第ではあるものの、FRBは年内3回の利下げ実施に向かっているという。
「今回のデータは、成長の改善とインフレの緩和が同時に進むというゴルディロックスのシナリオを基本的に裏付けている。分散投資ポートフォリオにとって理想的な環境を生み出すものだ」と同氏は述べた
関連記事:米CPIで懸念払拭、FRBは「安心して利下げできる」-市場関係者の見方
為替
ニューヨーク外国為替市場で、ドルは主要通貨に対して狭いレンジで推移。対円でももみ合いとなった。
| 為替 | 直近値 | 前営業日比 | 変化率 |
|---|---|---|---|
| ブルームバーグ・ドル指数 | 1181.40 | -0.76 | -0.06% |
| ドル/円 | ¥152.65 | -¥0.09 | -0.06% |
| ユーロ/ドル | $1.1876 | $0.0005 | 0.04% |
| 米東部時間 | 16時37分 |
円は総じて1ドル=153円台前半から152円台後半で推移。方向感を欠いた動きとなり、一時は152円60銭まで買われる場面もあった。
今週はドルが売られ、円やスイス・フランなどの安全資産とされる通貨の上げが目立った。週間ベースで、円はドルに対して約2.9%値上がり。
ウェルズ・ファーゴ・セキュリティーズのマネジングディレクター、アループ・チャタジー氏は、CPI統計について「金融政策見通しに対しておおむね中立的な内容だった」と指摘。
「市場は年内の利下げの可能性を過大評価している可能性がある。これはドルの上振れ要因であり、とりわけ低金利の主要通貨や新興国通貨に対する値上がりを見込む」と述べた。

原油
ニューヨーク原油相場はほぼ変わらず。週間ベースでは今年に入って初の2週連続安となった。米国とイランの核協議の行方に注目が集まる中、石油輸出国機構(OPEC)と非加盟産油国で構成される「OPECプラス」による供給拡大の見通しが相場の重しになった。
トランプ米大統領は、イランとの核合意が成立しない場合に備え、中東に追加の空母を派遣したと明らかにした。「合意がなければ、それが必要になる」とホワイトハウスで述べた。一方で、交渉は最終的にうまくいくとの見方も示した。市場は、米国とイランの緊張の高まりが中東からの供給を脅かすかどうか注視している。
OPECプラスの参加国は、供給過剰を巡る懸念は行き過ぎだとの見方から、4月に供給拡大を再開する余地があるとみていると、参加国代表らは明らかにした。ただ、3月1日の会合に向けていかなる方針にもまだコミットしておらず、正式な協議も開始していないと付け加えた。

米国ではプレジデンツデーの祝日を控えて商いが薄いとみられ、それが価格変動を増幅させた可能性がある。
ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物3月限は、前日比5セント(0.1%)高の1バレル=62.89ドルで終了。ロンドンICEの北海ブレント4月限は23セント(0.3%)上昇の67.75ドル。
金
金スポット相場は反発。1月の米CPIを受けて、利下げ観測が高まったことが背景。金利低下は通常、利回りを生まない金への追い風になる。また前日の急落を好機とみて、押し目買いに動く投資家もいた。
INGグループの商品ストラテジスト、エワ・マンティー氏は「貴金属全般が今週大きく売られた後、全体としてボラティリティーの高い状況が続いている。しかし、この日の動きは調整が行き過ぎていた可能性を示唆している。バーゲンハンティングやポジション調整が今は相場を支えている」と述べた。

中国市場は来週、春節(旧正月)のため休場となる。同国ではここ数カ月、貴金属需要が過熱しており、相場全体の上昇を後押ししてきた。
コメルツ銀行のアナリストは、貴金属はしばらく値固めが続くだろうとリポートで指摘。特に銀市場でのボラティリティーの一因となっていた中国の市場参加者が休暇に入ることを理由に挙げた。
金スポット価格はニューヨーク時間午後1時55分現在、前日比111.89ドル(2.3%)高の1オンス=5034.08ドル。ニューヨーク商品取引所(COMEX)の金先物4月限は97.90ドル(2%)高の5046.30ドルで引けた。
原題:Treasury Yields Slide as CPI Boosts Fed-Cut Bets: Markets Wrap
Traders Wager on Third Fed Cut in 2026 as Inflation Ebbs (1)
Dollar Resumes Drop After US CPI; Most G-10 FX Rise: Inside G-10
Oil Posts Weekly Loss as Traders Weigh Iran, OPEC+ Outlooks
Gold Reclaims $5,000 as Cooling Inflation Lifts Fed Easing Bets(抜粋)
