平昌オリンピックが閉幕した。日本が獲得したメダルの数は金が4個、銀が5個、銅が4個の合計13個。史上最高である。メダルの数以上に選手が勝っても負けても、皆堂々と競技に臨んでいた。この1点だけでも隔世の感がある。一昔前までオリンピックの本番で実力を発揮できない選手がいっぱいいた。メンタルトレーニングが発達したせいだろうか、国際舞台で日本の選手は物怖じしなくなった。フィギュアースケートのエキシビションでは、最後に羽生選手が参加選手よってリフティングされていた。かつてこんな光景があっただろうか。日本選手がオリンピックという舞台で堂々と渡り合っている姿をみて、個人的には誇らしく思った。
メダルの数だけではない。入賞した選手もかつてのオリンピックをはるかに上回っている。日本の実力は着実に上がっている。何が原因か素人にはよくわからない。テレビの観戦を通して感じるのはコーチやスタッフに外国人が多いことだ。もちろん家族をはじめ日本人のスタッフを含め、選手に対する支援体制が強化されているのだろう。メダリストの多くが「チームで獲得したメダル」と強調していた。選手の言葉を敷衍すればチームワークの勝利ということになる。今度のオリンピックは日本人が長年培ってきた“和”の勝利かもしれない。韓国の選手を批判するつもりはないが、パシュートでチームワークが乱れた韓国のチームには個があってチームがなかった。
パシュートを見る限り韓国だけではない。強豪オランダも個にウエイトを置いたチーム構成だったようだ。個々の選手の力が多少見劣りしても、チームとして一体化すれば世界に通用する。今回のオリンピックで日本が世界に示したのはチームとしての力だろう。もちろん、羽生選手のように個の力が優れた選手もいる。それはそれで賞賛に値する。羽生選手が演技するたびに手に汗握った緊張感は忘れられない。個が強くなり、チームとしても世界に通用し始めた日本。スポーツの可能性はますます大きくなるだろう。個人的には「いまの若いもんは」という口癖を封印しようと思う。スポーツに限らない。藤井棋士はあっという間に6段になった。映画も小説も漫画も若い人の作品は面白い。これからは時代の先端をいく若者に一目置くことにしよう。