• 首脳会談で米方針確認、一部の再交渉は困難-茂木再生相
  • 米離脱後は日本がTPP主導、検討は「成果」-麻生財務相

トランプ米大統領が環太平洋連携協定(TPP)への復帰を検討していることを受け、日本の閣僚からは歓迎とともに真意を見極める必要があるとの声が相次いだ。トランプ氏はツイッターへの投稿で離脱前より好条件となることを要求、日本を名指しで批判した。茂木敏充経済再生担当相は閣議後の記者会見で、「TPPの意義や効果を正しく評価するものであれば歓迎したい」と表明。日本はTPPが米経済や雇用にも好影響があると訴えてきた経緯があり、来週予定される日米首脳会談で米側の考えを確認する意向を示した。

一方、各国の利害を調整して成立したTPPは「ガラス細工のような協定」とも述べ、一部分だけの再交渉や変更は「極めて困難」というのが参加国の共有認識だと説明した。TPPは貿易や投資の自由化のため、知的財産や金融サービスの規則を定めた協定。トランプ大統領の当選を受け、米は昨年1月に離脱したが、残りの11カ国は今年3月、合意文書に署名した。内閣官房の昨年12月の発表によると、日本の実質国内総生産(GDP)を約1.5%押し上げる。

麻生太郎財務相は、米国の離脱後は「日本が主導してここまで持ってきた」と強調。米が復帰を検討すると判断したとしたら「当然、成果が上がったということ」と自賛した。

条件

TPP復帰検討を手放しで歓迎できないのは、米側が離脱前よりも有利な条件を求めているからだ。中国に追加関税を課すなど、トランプ大統領は貿易摩擦をいとわない姿勢を示しており、日本にとって難しい交渉となる可能性もある。

トランプ大統領はツイッターで「オバマ前大統領に提示されたよりも大幅に良い取引であれば、その場合に限ってTPPに復帰するだろう」と投稿。米が「TPP11カ国のうち6カ国と2カ国間合意を得ており、11カ国で最大の日本と取引しようと努めている」とした上で、「日本は長年貿易でわれわれに大きな打撃を与えてきた」と名指しで批判した。

河野太郎外相は、当面は米を除いたTPP11の早期発効を目指しているとした上で「まず米国がどう考えているのか話を聞く」と語った。また「一部だけを取り出して再交渉というわけにもいかない」とも指摘した。