南北首脳会談を受けて北朝鮮の非核化を巡る本気度が連日メディアで取り上げられている。有識者と称する人たちが様々な角度から金正恩北朝鮮労働党委員長の“真意”を探っているが、答えが出るはずもない。具体的な行動を見ない限り朝鮮半島の完全なる非核化が実現するのかどうか、判断しようがない。そんな中でもう一つの気になる非核化がイランだ。トランプ大統領は12日までにイランの非核化を定めた6カ国協議の枠組みから離脱するか止まるか判断する。その前哨戦が激しく繰り広げられている。イスラエルのネタニヤフ首相は昨日、イランが隠していた核兵器の開発計画に関する大量の資料を入手したとしてみずから公表した。
NHKによると、イラン外務省のアラグチ次官は国営テレビに対し「根拠のない、子どもじみたショーで、トランプ大統領の判断に影響を与えようというものだ」と、ネタニヤフ首相を非難した。国際政治の常として“真実”がどこにあるのかまったくわからない。つい最近米国を公式訪問したフランスのマクロン大統領は6カ国の枠組みを維持しながら、イランの非核化に向けた枠組みの見直しを提案している。いずれにしろ12日までにトランプ大統領が結論を下すだろう。その結論は現在進行中の北朝鮮の非核化にも大きな影響を及ぼすことになる。国際政治を色分けしてみれば親米か反米の2色だ。親と反の間には非もある。非も米国との距離感はいろいろある。とりあえず非は脇に置くとしてイスラエルは親、イランは反だ。
気になるのはサウジアラビアだ。パレスチナの盟主を自認しながら最近は反イランで親米の立場を鮮明にしている。ムハンマド皇太子が実権を握ってからこの傾向は特に顕著だ。原油価格の低迷でサウジ自体が国内的な不安要因を抱えている。石油に頼らない経済体制への転換を目指して様々な模索を始めている。ソフトバンクの孫社長と組んだ10兆円ファンドもその一環だろう。経済改革に止まればことは穏便に進むだろうが、対立するイランを巡りイスラエルとも手を組みそうな勢いだ。イランはロシアンと組んでシリアのアサド政権を支えている。トランプ大統領がアサド政権の化学兵器使用に抗議してミサイル攻撃を加えたのはつい最近のことだ。北朝鮮は反米から非米に動いた、この先親米に軸足を移せばトランプ大統領は経済制裁の緩和に動くだろう。その時日本は親米を貫けるか。親は親でも多少非が入るのか、微妙な判断が求められる。