大韓航空をめぐる一連の不祥事で韓国の人々もホトホトうんざりしているのではないかと想像する。これに関連した情報の取得源は個人的にはもっぱらテレビ。朝の情報番組や夕方のワイドショーは北朝鮮の非核化に次ぐ時間をこの問題に割いているような気がする。他国の内政にこれ見よがしに踏み込み、まるで白馬の騎士のように罵倒するコメンテーターの語り口にうんざりしながら、性懲りも無くその番組を見ている自分にも嫌気がさしてくる。最近は出来るだけ見ないようにしているのだが、それでもテレビの情報番組はどこのチャンネルをひねっても北朝鮮、TOKIO、水かけ姫だ。

ことの本質はひとまず置くとして、テレビのこの同一化というか、独自性の喪失は一体いつ頃から始まったのだろうか。4Kや8Kが登場してテレビの画面はものすごく鮮明になっている。そんな綺麗な画面を通して流れてくるコンテンツは画一的で平板で個性がない。登場するコメンテーターもどんな根拠があるのか不明のまま、わかったようなことを大上段に振りかぶって視聴者に解説する。まるでアジテーターのようだ。公共の電波を使って“風雪の流布”と思しき言説を振りまいている。ネットにはコメンテーターに対する批判が溢れている。おそらく彼らはそんなことは百も承知だろう。まるで公共の電波の私物化だ。辞めない財務大臣、審議しない野党、違いがないテレビ局。これらがみな同根の輩に見えてくる。

そうしたことが背景にあるのかどうか分からないが、政府の規制改革推進会議が放送法の改正をめぐって議論している。放送の公平性を担保する放送法4条の改正も視野に入れて検討するというニュースが伝わるや、放送業界は総がかりで反対の意向をぶち上げた。それに恐れをなしたのか、政府も4条の改正は見送るようだ。政府はテレビの言いなりか。テレビと通信の融合はあってしかるべきだと思うが、4条を改正する前にネット側の放送参入をもっと後押しした方が手っ取り早い気がする。AbemaTVのような通信からの放送業界進出を後押しすれば、少しは違いがわかるテレビ業界に脱皮できるのではないか。ついでに政治家も官僚も野党も脱皮してほしい。