[ニューヨーク 10日 ロイター] – ニューヨーク外為市場では、ドルが幅広い通貨に対し下落した。4月の米消費者物価指数の伸びが予想を下回ったことを受け、米利上げペースが加速するとの観測が後退したことが背景。

4月の米消費者物価指数(CPI、季節調整済み)は前月比0.2%上昇と、3月の0.1%下落から持ち直したものの、市場予想の0.3%上昇は下回った。

TD証券(ロンドン)のシニア外為ストラテジスト、マゼン・イサ氏は、「今回のCPI統計を受け、ドルに対する追い風が弱まった」と指摘。米国債利回りが低下したこともドルの重しとなった。

終盤の取引で主要6通貨に対するドル指数.DXYは0.4%低下の92.680。前日の取引では93.42と、4カ月半ぶりの高水準を付けていた。ユーロ/ドルEUR=は0.6%高の1.1920ドル、ドル/円JPY=は0.3%安の109.37円となっている。英ポンド/ドルGBP=D3は0.2%安の1.3516ドル。一時は1.3460ドルと、1月11日以来の安値を更新した。

イングランド銀行(英中央銀行)はこの日の金融政策委員会で、政策金利を0.50%に据え置くことを決定。ただ経済成長率とインフレの見通しを下方修正したことが英ポンドの重しとなった。

主要国で物価上昇が軟調となっていることを受け、米連邦準備理事会(FRB)以外の主要中銀による債券買い入れ策縮小や利上げの公算は小さくなっているとの見方が台頭。XE(カリフォルニア州)の外為部門責任者、マイケル・ディアス氏は、「FRB以外の主要中銀はこれまで必要以上にタカ派的だった。現在はこうした状態が修正される方向に動いているようにみえる」としている。

ドル/円
NY終値 109.38/109.41
始値 109.65
高値 109.72
安値 109.32

ユーロ/ドル
NY終値 1.1913/1.1917
始値 1.1887
高値 1.1946
安値 1.1871