米朝首脳会談の準備のため北朝鮮を訪れたアメリカ国務省の高官がNHKのインタビューに応じ、首脳会談の開催地について、実務的な理由からシンガポールを選んだと説明するとともに、「会談までにやるべきことが多く残されている。現実的姿勢で臨む」と述べ、北朝鮮が非核化に応じるか動向を注視する考えを示しました。

インタビューに応じたのは、米朝首脳会談の準備のためポンペイオ国務長官とともに北朝鮮を訪れ、10日に帰国したアメリカ国務省のナウアート報道官です。

ワシントンで行われたNHKとのインタビューで、ナウアート報道官は、首脳会談の開催地に決まったシンガポールについて、「数多くの記者や政府当局者が集まる大規模で重要な会議を滞りなく行うことができる施設が整っていることが必要で、シンガポールは完璧な場所だ」と述べ、トランプ大統領の意向も踏まえ韓国と北朝鮮の軍事境界線にあるパンムンジョム(板門店)も検討したものの、実務的な理由で最終的にシンガポールに決まったと説明しました。

そのうえでナウアート報道官は、「われわれの期待が何か、北朝鮮に明確に伝えている。完全かつ検証可能で不可逆的な非核化だ」と述べ、トランプ大統領が会談でキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長に具体的な行動を要求すると強調しました。

そして、「会談までにやるべきことが多く残されている。われわれは目を見開き、現実的姿勢で臨む」と述べ、首脳会談に向けて北朝鮮と引き続き協議を行う必要があると指摘し、アメリカが求める非核化に応じるか、北朝鮮の動向を注視する考えを示しました。

また、ナウアート報道官は日本人の拉致の問題について、ポンペイオ長官が今回の北朝鮮訪問で取り上げたか明らかにしませんでしたが、「われわれはあなたたちの悲しみを共有している」と述べ、拉致問題についても重視していると強調しました。