北朝鮮は今月の23日から25日にかけて北東部咸鏡(ハムギョン)北道の豊渓里(プンゲリ)にある核実験場を廃棄するが、廃棄の時期について同外務省は12日夜、「今月23日から25日の間に天候を考慮しながら行う」と発表した。合わせてNHKの報道によると「核実験場の廃棄を透明性をもって示すため」としてアメリカ、韓国、中国、ロシア、イギリス5カ国の報道機関に公開すると明らかにした。6カ国協議の当事国である日本は含まれていない。これに関連してトランプ大統領は「ありがとう。とても賢く、丁重な行動だ!」と早速ツイッターに書き込んだ。日本を排除する北朝鮮の露骨なやり方、トランプ大統領の無邪気な喜び方、嫌な予感がする。

 

北朝鮮はこの日拉致問題にも言及して日本を非難している。時事通信によると、「北朝鮮国営の朝鮮中央通信は12日、日本人拉致問題について『解決された』と主張、日本政府の拉致問題提起を『誰かの同情を買い、過去の清算を回避しようとしている』と非難した。その上で、『過去の清算のみが日本の未来を保証する』と訴えた」。ここには年明けから始まった北朝鮮の微笑み外交はなく、以前の恫喝外交に逆戻りした感がある。ある意味ではこれが北朝鮮の本当の姿なのかもしれない。平壌オリンピックを利用した南北、米朝の蜜月の演出はあくまで「当面の時間稼ぎを目的とした建前外交」と理解したほうがわかりやすい。日本にだけは本音を貫いているとすれば、日本は迷うことなく今までの方針を貫くべきだろう。

 

ところが、である。時事通信によると北朝鮮は日本との対話を求めているのだという。時事ドットコムの記事を引用しよう。「韓国大統領府高官は13日、北朝鮮の核実験場廃棄を取材する国際記者団から日本が外された背景について、『まだ日本とは公式的な対話が実現していないことが(そうした状況に)関連しているのではないか』と語った」という。この記事には「日本に対話を促すための揺さぶりの一環との見方を示唆した発言だ」とある。これが外交の常套手段だとすれば、素人に情報合戦の裏の裏まで読み解く術はない。慰安婦問題に対する北朝鮮の対日批判も、賠償金目当てのサインなのかもしれない。だとすれば日本は、1兆数千億円と見られている賠償金というニンジンを北朝鮮の鼻先にぶら下げて、黙っているだけでいいのかもしれない。金正恩体制は依然として信じるに足りない気がする。