米朝首脳会談以降、朝鮮半島の非核化や貿易摩擦の行方に目を奪われて、日本国内の問題から関心が遠のいている。今朝の新聞をみて国会の会期が延長されたことに改めて関心が向く。今朝の朝日新聞には「衆院は20日の本会議で、同日までの通常国会の会期を7月25日まで32日間延長することを自民党や公明党、日本維新の会などの賛成多数で議決した。政府・与党は働き方改革関連法案などの成立を急ぐ一方、野党は森友・加計学園問題で攻勢を強める構えだ」とある。1カ月前の国会情勢と全く一緒だ。この1カ月、国会は何をやってきたのだろう。これじゃ誰だって国会に関心を向けようとはしなくなるだろう。与野党議員がしばしば口にする「有権者は政治不信を強める」という言葉が虚しく響く。
いまさら虚しいなんて書けば、逆に白々しいか。ロイターが報道した米議会の動向を参考にしてみる。米国ではいま不法移民の子供を親と分離して強制的に収用しようとする大統領の移民政策が大問題になっている。これに対して議会は「移民関連2法案が審議されている。下院は、家族分断の問題と全般的な移民問題に対応するための2法案について、21日に採決を予定している」とある。米議会は問題を解決しようと取り組んでいるのである。ロイターによると2法案について野党民主党や移民擁護団体は、「厳格すぎる」と反発している。「両案ともメキシコ国境沿いの壁建設費を予算計上し、永住権を得た移民が祖国から親族を呼び寄せる合法移民の数を減らす内容となっているためだ」とある。日本と同じで与野党の対立は厳しい。れでも採決は普通に行われるようだ。
米国でも与野党の意見対立は簡単には解けない。それでも与野党はなんとか問題を解決しようと取り組んでいる。日本なら野党は常套手段である審議拒否で対抗するだろう。米議会も問題は多いが、審議拒否しないだけ日本よりはましか。さすがはディベートの国だ。意見は違っても双方がお互いの意見を尊重し合っている。議論を続ける中で民意は収斂されていく。共和党のポール・ライアン下院議長は「現在検討されている妥協案では、家族を一緒に収容できるよう国土安全保障省に予算を割り当てている」(ロイター)と妥協する姿勢を示している。かたや日本。野党は会期延長に強硬に反対している。それでも数の論理で延長は認められる。だが、延長国会でも審議は順調に進まないだろう。延長国会の会期末には再び与党が強行採決して重要法案を成立させるだろう。議論しないのに国会の会期を延長する与党、延長国会でもまっとうに審議しない野党の国会議員。これってやっぱり変だと思う。