今朝読んだニュースで気になったのは米国の景気ピークアウト説だ。ブルーンバーグ(BB)によると、グラスキン・シェフ・アンド・アソシエーツのチーフエコノミスト兼ストラテジスト、デービッド・ローゼンバーグ氏は21日、モントリオールで開催された会議で、「景気循環には終わりがある。どのように終わるかご存じだろうか」と問い掛けた上で、「米金融当局が自らの額に銃弾を撃ち込むためだ」と述べたという。エコノミストにしては過激な物言いだ。FRBが頭に銃弾を撃ち込むというのだから、たとえとしても物騒だ。言いたいことは、「政策金利を上げすぎると景気循環が終わる」ということだろう。たとえの是非はともかくとして、ありそうな説だ。

ローゼンバーグ氏は「S&P500種株価指数が1月に最高値を付けた時が強気相場のピークだったことが今後判明する」と言っている。同指数が今後1月の高値を抜けないようだと米国は、「1年以内にリセッション(景気後退)入りする可能性がある」と予言する。景気のピークアウトに先駆けて株価指数が天井を打つことはよくある。1989年の年末に平均株価は3万9800円という史上最高値をつけているが、主要銘柄はその半年ほど前にすでにピークアウトしていた。ローゼンバーグ氏の警告をみてそんな過去の記憶が蘇ってきた。この人はリーマンショックが起こる前に「グレートリセッション(大不況)を最初に警告したエコノミストの1人」だというから、米景気ピークアウト説の信憑性は高い。

実態の米景気についてFRBは相変わらず強気の姿勢を示している。政策金利の引き上げも年内にあと2回はありそうだ。だが問題は金融当局というよりもトランプ大統領ではないか。FRBをはじめ世界中の中央銀行が気にしているのは貿易摩擦の行方だ。米中の摩擦が収束しなければ、世界経済へのダメージは相当大きなものになる。これに米金利上昇が追い打ちをかける。世界的に金利が上がれば、政府が蓋をして強引に押さえ込んできた中国の不良債権問題が動きだす。なだらかな金利上昇なら影響は少ないが、不安心理を背景とした突発的で急激な金利上昇が起これば、リーマンショック並みのグレートリセンションになりかねない。頭に銃弾を撃ち込むのは金融当局というよりもトランプ大統領の可能性が大きいのではないか。