[ワシントン 29日 ロイター] – 米商務省は29日、海外勢による対米投資を巡る審査を厳格化する新法案に合わせる形で輸出規制の見直しに着手したことを明らかにした。

商務省はロイターへの声明文で、見直しは「特定の技術や輸出先、最終利用者など関連要因に絡むリスクに基づき」規制を変更する目的があるとした。

トランプ米大統領は27日、中国企業による米ハイテク技術獲得など対米投資の問題について、中国に特化した制限を課すのでなく、「外国投資リスク審査近代化法」(FIRRMA)法案で強化される対米外国投資委員会(CFIUS)の審査権限を活用して対応する方針を表明。輸出規制についても同法案の文言を踏まえて、中国に特化せず、広範な規制強化策が検討されることになる。

商務省は、「米国の国家安全保障に不可欠な新規および基礎技術の見直しを義務付けるFIRRMAの規定」に沿っていると説明した。

米議会の上下院は内容の異なるFIRRMA法案を可決しており、今後、一本化のための協議が実施される見通し。

法案は、国家安全保障へのリスクを理由とするCFIUSの審査案件を米企業の少数株式取得や外国企業を巻き込む合弁会社、米軍基地周辺の不動産購入などにも広げる内容になっている。また、先端技術に関する規制を現状に即した形で強化することを規定しており、これには規制対象とすべき先端技術のリスト作成も含まれる。

上下院の法案はともに、対象技術を特定していないが、通商法の専門家らは、人工知能(AI)技術やロボット工学、自動運転車が輸出規制対象リストに追加される可能性が高いと指摘してきた。これらの先端技術は中国政府による「中国製造2025(メイド・イン・チャイナ2025)」振興策の対象となっている。

米政権当局者によると、法案が成立しても、新たな輸出規制に関する規則は発効までに何年もかかる可能性があるため、商務省は輸出規制強化に向けた暫定措置を取る見込み。