[ジュネーブ/ワシントン 29日 ロイター] – トランプ米大統領が世界貿易機関(WTO)から脱退したいとの考えを繰り返し政権当局者に述べていたと、ニュースサイト「アクシオス」が29日、関係筋の話として報じた。

報道によると、協議に関わった人物は、トランプ大統領が顧問らに「なぜわれわれが加盟しているのか分からない。WTOは他の国々が米国をだますように意図されている」と何度も話したと明かした。

トランプ大統領の考えについてよく知る関係筋によると、大統領は非公式な会話でWTOを脱退すべきだと述べたものの、真剣な提案ではなかったという。

この関係筋は「大統領はWTOにいらだちを覚えており、WTOを好んではいないが、脱退に向けた正式な手続きに乗り出すわけではない。大統領はWTOが好ましい貿易協定を妨げ、貿易をより複雑にすると考えている」と述べた。

WTOからの脱退には議会承認が必要となり、トランプ氏は議会の説得には後ろ向きだという。

アクシオスは「事情に詳しい関係筋によると、トランプ政権はWTOの枠組みの中で米国が不公正や不均衡に直面していると考えるさまざまな点を引き続き訴える方針だ」としている。

WTOのロックウェル報道官は、事務局関係者に脱退の意向を示唆した米政府当局者はいないと述べた。

ホワイトハウスや米通商代表部(USTR)はコメントの要請に応じていない。

この報道について、ムニューシン財務長官は同日、誤りだと指摘。フォックス・ビジネス・ネットワークに対し「フェイク(偽)ニュース」だと述べた。

ムニューシン氏は、報道が誇張されているとし、「大統領はWTOに懸念を抱いており、公正でない側面があると考え、中国や他国が自国ためにそれを利用してきたと、誰に対しても明確にしてきた」と指摘。また、米国が自由貿易に注力しており、障壁をなくすことに力を入れていると主張した。

同氏はこれより先、米国が発動した関税や発動を警告した関税措置によって減税の効果が帳消しになるかとのフォックス・ビジネス・ネットワークの質問に対し、「これら全ての効果を帳消しにするようなことや、成長への大きなリスクになるようなことはしないと約束する」と答えた。