北朝鮮の動きを衛星写真で分析しているアメリカの研究グループは、北朝鮮が、北西部にあるミサイル試験場で施設の一部を解体する動きを始めたと発表しました。研究グループは「北朝鮮がアメリカとの信頼を構築するうえで重要な動きだ」としています。

北朝鮮の動向を分析しているアメリカの研究グループ「38ノース」は、23日、北朝鮮北西部ピョンアン(平安)北道トンチャンリ(東倉里)にあるソヘ(西海)衛星発射場の最新の衛星写真の分析結果を発表しました。

それによりますと、今月20日に撮影された写真では、事実上の弾道ミサイルを組み立てるための四角い大型の構造物の周りに、クレーンなどが確認されました。
そして、その2日後の写真では、構造物の一部が解体され近くの地面に置かれているのが確認されたとしています。

また、弾道ミサイルのエンジンの燃焼実験施設でも、実験用のエンジンを備え付けるための垂直の構造物の大部分が取り壊され、土台を残すのみになっていると指摘しています。

北朝鮮のミサイル施設をめぐっては、さきの米朝首脳会談で、トランプ大統領は、北朝鮮が主要なミサイル試験場を取り壊すことを約束したとしていましたが、これまで、具体的な動きは確認されていませんでした。

研究グループは「この施設は北朝鮮の大陸間弾道ミサイル開発で重要な役割を果たしてきたと考えられているだけに、北朝鮮がアメリカとの信頼を構築するうえで重要な動きだ」としています。

ソヘ衛星発射場とは

北朝鮮北西部ピョンアン北道トンチャンリにあるソヘ衛星発射場では、弾道ミサイルのエンジンの燃焼実験が行われてきたほか、人工衛星の打ち上げと称して、事実上の長距離弾道ミサイルが発射されてきました。

敷地内には、大型の固定式の発射台のほか、エンジンの実験などを行う連動試験場や、コントロールセンターにあたる発射総合指揮所が設けられています。

おととし4月にICBM=大陸間弾道ミサイルのエンジンの実験が、また、おととし9月には、「静止衛星を運搬するロケット用の大出力エンジンの地上燃焼実験に成功した」として、事実上の長距離弾道ミサイルに使うエンジンの実験が、それぞれ行われました。

去年3月にも、弾道ミサイルに使用する新型の大出力エンジンの燃焼実験が行われ、立ち会ったキム・ジョンウン(金正恩)朝鮮労働党委員長は「実験の成功がどれだけ画期的な意義をもつのか、世界はまもなく目にするだろう」と述べていました。

一方、固定式の発射台からは、2012年以降、人工衛星の打ち上げと称して事実上の長距離弾道ミサイルが繰り返し発射されており、おととし2月にも1発発射されています。

韓国大統領府関係者「非核化によい影響を及ぼす」

アメリカの研究グループの発表について、韓国大統領府の関係者は、24日午前、記者団に対し、「非核化によい影響を及ぼすだろう。北が非核化に向けてきちんとやっているということだ」と述べ、解体の動きが事実とすれば歓迎する意向を示しました。

そのうえで韓国政府としても事実関係や北朝鮮側の意図を慎重に分析する考えを示しました。