Christopher Beddor

[香港 20日 ロイター BREAKINGVIEWS] – 中国政府主導の大気汚染削減キャンペーンの今後は、同政府が約束した不良債権削減の実現にかかっている。

中国政府が昨年行った工場閉鎖は劇的な効果を生み、大気汚染に悩む北部都市の大気中の微粒子汚染は、第4・四半期は軽減された。だが成長が鈍化するなか、大気汚染の改善が続くかどうかは、当局が融資姿勢を再び緩和するかにも左右されるだろう。

最新の大気汚染対策では、中国でも汚染度の高い都市は、2020年までに大気汚染物質「PM2.5」濃度を2015年の水準から18%以上削減させなければならない。これは、達成可能な目標だ。政府はこの4年、大気汚染を厳しく取り締まるとの公約を忠実に実行に移し、当初は懐疑的だった人々も納得させた。

環境保護団体グリーンピースによると、統計がある都市では、2013年から2017年にかけて、PM2.5の平均濃度が3分の1程度減少した。

最近では、金融リスクを軽減しようという動きも、環境目標を後押ししている。

過去には、景気刺激策が公害削減目標に向けた前進を妨げてきた。例えば、景気が減速した2015年と2016年初めには、当局は政府主導で融資を拡大し、ぐらつく成長を立て直そうとした。中国の銀行は、重工業や建設関係の企業への融資を好むが、両業界とも非効率で汚染度が高いため、資金を注ぎ込めばスモッグももっと排出されるという構図だった。結果として、中国北部の工業地帯の汚染度は、2017年初めに顕著に上昇した。

これを受け、中国当局は数千軒の工場を閉鎖したほか、民間企業だけでなく、国有大手の中国五鉱集団も厳しく批判した。その結果、グリーンピースによると、2017年の第4・四半期は、中国の北部28都市で、平均33%もPM2.5の濃度が下がったという。

無関係ではない動きとして、金融規制当局が取り締まりを強化し、2016年末の時点で国内総生産(GDP)の166%だった企業債務は、2017年末には160%まで減った。

当局が債務削減路線を続けるなら、大気汚染物質の排出量も減り続けるだろう。

だが米国との貿易戦争を受けて金融市場は下落しており、債務削減キャンペーンも業績に影響している。アナリストは、貸し出しの増加が、大気汚染のデータとなって表れるのは、約6ー12カ月後になるとみている。

もし当局が、すでに最近のいくつかの兆候が示すように気弱になれば、中国の大気の未来はよりかすんだものになるだろう。

*筆者は「Reuters Breakingviews」のコラムニストです。本コラムは筆者の個人的見解に基づいて書かれています。