日銀は31日、長期金利の目標を柔軟化させることを決定した。ただ、物価見通しを軒並み下方修正し、2%の物価目標も2020年度までには達成が困難との見解を示した。目標の早期実現へ有効打とならないことを自ら認めた格好で、日銀の政策運営は手詰まり感が強まっている。

黒田東彦総裁は就任直後の13年4月に異次元緩和を導入。2%の物価上昇は「2年程度で実現できる」と強調した。その後、マイナス金利、長期金利操作など異例の緩和策を次々に繰り出したが物価の伸びは勢いを欠いたまま。

黒田総裁は31日の記者会見で、2%の物価上昇の達成には「想定よりも時間がかかる」と遅れを認めた。大規模緩和はさらなる長期化が避けられず、国債取引の不成立頻発といった低金利の副作用軽減策を余儀なくされたのが実情だ。

緩和を長く続けることはできても、効果が強まるかは別の話。政策金利の先行きを示す指針「フォワードガイダンス」を導入し、現在の緩和策を粘り強く続ける姿勢をアピールするが、人々の根強いデフレ心理を解きほぐすことができるかは不透明だ。

金融緩和の限界を指摘する声も少なくない中、みずほ証券の上野泰也チーフマーケットエコノミストは「日銀の大規模緩和はまさにエンドレスの様相になっている」と指摘している。