19日のニューヨーク外国為替市場ではドルが下落。リスク志向が強まり資源国通貨が上昇したほか、貿易を巡るここ最近の緊迫した状況もトレーダーの大きな懸念材料とはならなかった。

ドルは豪ドルとニュージーランド・ドルに対して大幅に下落した。両通貨は商品高が支援材料となったほか、中国の李克強首相の発言を背景に新興国通貨が買われた。首相は米中貿易摩擦が激しくなる中でも輸出競争力の向上を目的に人民元を切り下げることはないと言明した。

ドルはカナダ・ドルに対しても下落、原油高が影響した。ニューヨーク商業取引所(NYMEX)のウェスト・テキサス・インターミディエート(WTI)先物は約2%上昇し、7月10日以来の高値となった。原油在庫が3年ぶりの低水準となったことが手掛かり。

北米自由貿易協定(NAFTA)改定に向けた米国とカナダの協議難航が伝えられた後も、この日のカナダ・ドルは上昇した。NAFTA協議は週内に合意に至る可能性は低そうだと、協議に詳しい関係者4人が明らかにした。

ニューヨーク時間午後5時現在、主要10通貨に対するドルの動きを示すブルームバーグ・ドル・スポット指数は前日比0.1%低下。ドルはユーロに対して0.1%未満下げて1ユーロ=1.1673ドル。対円では0.1%未満下げて1ドル=112円28銭。

英ポンドは上げ幅を縮小。メイ英首相がアイルランド国境問題の解決に向け欧州連合(EU)側が用意した改善提案を拒否する構えだと報じられたことが響いた。

欧州時間の取引

市場がリスクを選好する中、ドルと安全逃避通貨には厳しい展開だった。ポンドは一時対ドルで0.5%高をつけた。英国では8月に、予想に反してインフレが加速した。劇場のチケットやコンピューターゲームの価格が上昇したほか交通費と衣料も値上がりした。

原題:Dollar Slides as Nafta Talks Drag On; Aussie Gains: Inside G-10(抜粋)
Dollar Drops on Trade as Pound Gets Inflation Boost: Inside G-10(抜粋)